NIMRA 1999年の研究会

  • 総会 (1999.1.28)
  • 2月例会:山中 恒之 氏「2005年国際博をめぐって」(1999.2.17)
  • 3月例会:松長 毅 氏「環境問題とエコツアー」(1999.3.24)
  • 4月例会:岡 和喜 氏「製鐵工場における廃棄物の再利用の実例」(1999.4.28)
  • 5月例会:向井 征二 氏「自治体の環境ISOの現状と課題」(1999.5.25)
  • 6月例会:土井 ゆき子 氏「フェアートレード」(1999.6.23)
  • 7月例会:由利 信太郎 氏「都市の静脈下水」(1999.7.22)
  • 10月例会:川村 信之 氏「電気事業の自由化と環境問題」(1999.10.25)
  • 11月例会:畠山 順嘉 氏、朝倉 義子 氏「グループホームと宅老所」(1999.11.11)
  • JR東海セントラル・タワーズ 見学会 (1999.11.12)
  • 12月例会:情報交換市 (1999.12.16)
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    1999年総会

    日 時:1月28日 19:00〜21:00
    場 所:リビエール(栄)
    内 容:
     1998年決算、1999年事業計画について承認を得た。
     会長:舩木 堅太郎

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    1999年2月例会

    日 時:2月17日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509号室
    テーマ:「2005年国際博をめぐって」
    講 師:山中 恒之 氏(愛知県国際博推進局 計画課長)
    内 容:
     2005年日本国際博覧会について、基本理念、特徴、準備状況、愛知県の取り組み等について、話を伺った。
     国際博は、国際条約に基づく国家プロジェクトである。条約の第1条には「公衆の教育」がうたわれている。 国際博の特徴は「非日常性」「次なる発展への導火線」。
     子供が参加することに意義がある。70年の大阪博では「初めての体験」ができ、子供達に与えた原体験としては効果があった。しかし、最近は惰性の万博となっていて、「珍しいもの」が見いだせなくなっている。
     (財)2005年日本国際博覧会協会が事業主体。情報提供が乏しい中での議論は難解である。開催までまだ6年半有るように見えるが、BIEへの登録を2000年6月に予定しているので、環境アセスメントという重要な手続きを経なければならず、今年中に全てが決定されなければ間に合わない。
     愛知県は、国際博を地域づくり(2010年計画)に活用していく意向である。2010年は愛知県のターニングポイントとなる。人口構造が変わり、国際博や中部国際空港の効果が出てくる頃である。リニア新幹線が名古屋を通らない可能性もある。工業出荷額日本一が、これからも続く保証は何もない。弱いと言われる「研究開発」の強化として、2010年計画のなかでは「研究開発ゾーン(犬山〜岡崎)」を位置づけ、このゾーンの中に国際博会場があり、国際博を研究開発に結びつけていきたい。
     博覧会のあり方として「問題提起型」「来るべき時代の実験場」「成果の恒久的継承」を掲げている。エネルギーシステムではCO2の75%削減、フィールド活用としては水平回廊、ゼロエミッションの実感ができるようなシステムが検討されている。

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    1999年3月例会

    日 時:3月24日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509号室
    テーマ:「環境問題とエコツアー」
    講 師:松長 毅 氏(有限会社フューチャー代表取締役)
        ニューパラダイムの会 事務局長
        ニューエコロジーシステム研究会 事務局長
        マングローブいぶきの会 代表
        止めようダイオキシン汚染・中部ネットワーク事務局長
        ワンアース・プロジェクト代表
    内 容:
     銀行のエリート社員から転身して、自ビールキットなどの手作りオーガニック商品の卸売会社を設立し、環境ビジネスの傍ら、マングローブ植林ツアーの企画など数々の環境NGO活動に取り組んでいる松長氏から、フィジー植林ツアーを中心として、環境NGO活動やエコツアーについて、話を伺った。
     マングローブは熱帯地域の稀水域に生育する樹木の総称で、魚類のゆりかご。ベトナム戦争で黒潮の源流にあるマングローブ林が破壊されて以来、沖縄近海でのマグロやカツオの漁獲量が激減し、漁業が成り立たなくなった。環境を破壊して初めて生態系を知るのが常である。
     マングローブ植林ツアーは、ボランティア活動と観光・文化交流が半々。植林は干潮時の半日のみで、残りは自然との触れ合いや現地の人達との交流など楽しく過ごす。宿泊はホームステイで、初めて見る日本人に地元も大歓迎。
     マングローブは、水域の塩分濃度に適した種類の樹木でないと生育せず植林には専門知識が必要であるが、一般に現地人は知識に乏しく危機意識が薄い。植林後の維持には地元の力が不可欠であるが、現地の取組みは国によって異なる。例えば、インドネシアではJICAが去った跡地に商業開発が進むケースが多い。
     日本のNGOは資金が乏しく人材養成できないのが難点。最近になって、ODAのNGO補助金への割当て、JICAとNGOとの連携などの明るい動きもある。

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    1999年4月例会

    日 時:4月28日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 IC名古屋4番教室
    テーマ:「製鐵工場における廃棄物の再利用の実例」
    講 師:岡 和喜氏(鐵原(株) 技術部次長)
    内 容:
     鐵原(株)は、鉄鋼ダストや排水などの製鐵工場からの排出物の再利用処理、製品化を請負っている新日鉄の子会社である。同社で長年に渡り廃棄物処理に取り組んで来られた岡氏から、製鋼過程で発生するスラグや製品の塩酸洗浄過程で発生する酸化鉄等の再利用など、製鐵工場での廃棄物の削減、再製品化の実例について話を伺った。
     世の中は「生成→存在→消滅」というサイクルで成り立っている。しかし、生み出す喜び、維持し使用する喜びばかりが重要視されており、消滅する過程が軽視されている。これは経済最優先主義の弊害である。
     リサイクル業は3Kで嫌われ、常に攻撃される弱い立場にある。廃棄物という負の生産物の処理をする人達の存在が、社会的に正当な評価されていない。末端処理が評価されるような見直しが必要である。
     製鉄工場からは、鉄鉱石中の不純物を固めたスラグと呼ばれる廃棄物が発生する。スラグはシリコンなどの酸化物で石状の固体であり、セメント原料、道路路盤材、土木用骨材、リン肥料などに製品化している。鉄の蒸気から発生する煤(ダスト)は錠剤化して製鉄原料に戻し、また圧延工程の塩酸洗浄水から溶け出した鉄分は回収して磁性粉(フェライト原料)に加工し、電子部品メーカーなどに出荷している。鉄鋼工場内のリサイクルは完成しており、廃棄物は二酸化炭素CO2のみである。

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    1999年5月例会

    日 時:5月25日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509号室
    テーマ:「自治体の環境ISOの現状と課題」
    講 師:向井 征二 氏(環境マネジメントコンサルタント、NIMRA会員)
    内 容:
     環境ISO(ISO14000シリーズ)の概要と審査登録制度、地方自治体の取得状況、環境ISOでうたわれる「利害関係者の特定」について、講師の体験を通して話を伺った。
     地方自治体がISO14001の認証を取得しようとする動機は様々であるが、大きく分けると率先垂範型(産業の活性化を目指した行政サービスの一環として)役所活性化型(沈滞した役所のムード打破のために)首長のステイタス型の三つに分類できる。動機はともあれ、ISOに適合するのは良いことである。
     環境ISOに適合するには、環境を改善するためのシステムをつくり、P(Plan)D(Do)C(Check)A(Action)のデミングサイクルを動かし続けることが必要である。
     環境ISOでは、利害関係者を特定し、その要求に応じて環境方針を開示することを義務付けている。自治体の場合には、納税者である企業と住民が第1の利害関係者であるが、自治体の職員も利害関係者であることを忘れてはいけない。このことは、環境ISOの基となった英国環境規格に唄われている。
     ISOに適合するための方法は5つあるが、審査機関の認証を受ける方法(第三者による認証)をとる自治体が大部分である。自治体こそが自己宣言による環境マネジメントシステムの構築に努めて貰いたいものである。
     自治体が環境ISOの認証を取得した例は、埼玉県、大阪府、大分県等いずれも大きな自治体であるなかで、十万都市で最初に取得した自治体のケースとして上越市(人口14万人)がある。
     上越市の認証取得迄には、十年余にわたる地道な環境活動があり、環境ISO取得はその延長線上でのことであった。認証取得よりも、それに相応しい自治体になることが重要である。環境ISO取得は、環境活動の経過点に過ぎない。

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    1999年6月例会

    日 時:6月23日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509号室
    テーマ:「フェアートレード」
    講 師:土井 ゆき子 氏(風”s(フーズ)オーナー)
    内 容:
     「風”s」は「共に生きる」をテーマにしたテーマショップであり、フェアトレード品、障害者の製品、女性向け商品などを扱っている。「風”s」を通して、男女のビジネス感覚の違い、フェアトレード、発展途上国の女性との連帯について、話を伺った。
     フェアートレードとは、発展途上国の有機無農薬食品や手工芸品を適正な価格で取り引きし、仕事作りから技術援助もする、今までの収益目的の貿易とは対極をなす貿易、貿易を通じた発展途上国支援であり、世界のNGOを中心に繰り広がられている草の根の国際交流である。
     途上国の女性は一般に識字率のみならず所得も低く、家庭内で困難な地位に置かれ、社会的な地位が低いことが多い。そのような女性に働いて現金収入を得るチャンスをがあれば、文字を知り地位の向上を図ることができる。そのチャンスを与えるのが、フェアートレイドである。我々が、途上国で作られたものを持続的に買うことが、途上国の草の根の支援になっている。
     フェアートレイドは、単に商品を作らせそれを購入するのではなく、現地の材料を用い現地の文化を伝えること、現地で生産する人々が自立できるようにすること、持続的に購入すること、対等な立場に立つことを原則にしている。そのためにフェアトレード支援団体では、材料の入手が容易になるように材料費を無利子で前貸しすることも行っている。
     「風”s」は、ウィル愛知(愛知女性会館)の出店公募に応募して起業した。女性のビジネスは、効率を追求する男性の発想と違い、生活感に根ざしている。その生活感がフェアートレードに繋がっている。買物は女性の習性なので女性客が多く、女性向けの商品が多い。途上国で商品を作っているのもまた主婦達である。女性が起業したことに意味がある。
     物(商品)を通じて、商品を作っている途上国の労働者の生活や、思いを伝える仕事をしていきたいとのこと。

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    1999年7月例会

    日 時:7月22日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509号室
    テーマ:「都市の静脈下水」
    講 師:由利信太郎氏((株)エステム エンジニアリング部部長)
        (水プラント設計施工維持管理、環境調査分析)
    内 容:
     名古屋市南区にある排水処理設備の設計、維持管理会社にて、長年に渡り下水・排水の水処理技術の開発、脱水機の開発、回分式水処理の開発に従事されてきた講師から、その豊富な経験をもとに、下水道のしくみ、下水道資源の有効利用、水処理副産物の利用、熱の再利用、下水道普及に関する問題点等、下水道全般及び環境問題について、話を伺った。
     下水道は、水洗トイレの普及に伴う生活汚水の処理と、都市洪水の防止を目的として始まり、公共用水域の水質保全を担うようになり、最近では資源・施設の有効利用と水循環の維持回復がその役割に加わるようになった。
     下水処理の目的は、有機物を分解してBOD(生物学的酸素要求量)を削減することと、窒素やリン分を削減することにある。
     下水処理には適切な制御が必要であり、家庭用の浄化槽では十分な処理ができない。窒素の分解にはその3倍の有機物が必要である為、窒素分が過剰なトイレ排水のみを処理する単独浄化槽では、窒素が処理され切らないで放出されてしまう。
     処理水は、農工業用水・散水用水などの他、熱エネルギーとしても利用されている。汚泥は、埋立用に用いられる他、33%が有効利用(焼却灰コンポスト等)されている。しかし、工場排水を含む場合には有害物質を含む為にコンポスト利用できない。
    下水道は一括処理が趨勢であるが、ゴミ同様に分別収集が望ましいのではないか。
     大都市の下水道では、雨水とまとめて流す合流式が一般になっており、地下水の枯渇、河川流量の減少、都市のヒートアイランド化などの原因となっている。発生源ごとでの分散処理、放出が理想的な姿ではないだろうか。
     地球温暖化への影響としては、ばっ気用ブロアーの電力消費が大きく、国内総消費電力の0.6%を下水処理場で使用している。
     排水中の環境ホルモンの処理能力については、調査中である。

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    1999年10月例会

    日 時:10月25日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509号室
    テーマ:「電気事業の自由化と環境問題」
    講 師:川村 信 之 氏(中部テレコミュニケーション(株)IP技術部、NIMRA会員)
    内 容:
     2年余の東京勤務の間、通産省内で電気事業法改正に伴う規制緩和や地球環境対策に関する専門検討委員として報告書の取り纏めに参画して来られた講師から、電力事業とその環境対策について、話を伺った。
     日本は電力料金が高いと言われるが、昭和50年から平成5年にかけての上昇率は鉄道運賃や水道料金の半分以下である。また、米国と比較しても、為替換算では民生向けで1.3倍、産業向けで1.7倍と高くなるものの、購買力平価換算では、民生向けで0.8倍、産業向けで0.9倍と、日本の方が安い計算になる。さらに、停電の発生率は米国に比べて桁違いに小さく、また電圧や周波数の安定度も高い。需要家側の安定化整備を不要とすることで、産業の国際競争力に大きく貢献した来た。電力品質の差異は、国策や国民性など、電力に対する考え方の違いに起因している。
     この度の電気事業法改正により、2000年3月より、地域電力会社の送電線ネットワークを共用運用することによって、需要家が発電会社を選択できるように規制緩和になる。当面は大口需要家のみが対象であるが、徐々に拡大し将来的には一般家庭でも発電会社を選択できるようにする方針である。しかしながら、電力は瞬時消費性のものであり、ネットワーク全体で電力品質が共通になる為に、送配電制御の責任やコストの分担が課題として残っている。
     地球温暖化対策としては、LNG火力発電、原子力発電や自然エネルギー発電の推進、コンバインドサイクルによる発電効率向上などのCO2排出量削減策も検討されているが、国内産業の排出削減は既にかなり進んでおり、これ以上の削減を進めるよりも、排出権取引きを利用して、ロシアやアジア諸国の排出削減を支援する方が、グローバルなCO2排出削減にはより大きな効果が期待できる。
     また平行して、植林によるCO2の吸収促進や、クラスレート化深海貯蔵などのCO2固定策も検討されている。

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    1999年11月例会

    日 時:11月11日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509号室
    テーマ:「グループホームと宅老所」〜地域介護のあり方を考える〜
    講 師:朝倉 義子 氏(民間デイサービス ヤモリクラブ代表、看護婦)
        畠山 順嘉 氏(畠山都市建築事務所代表、NIMRA会員)
         人・街・なごやネット グループホーム部会長
        (人にやさしい街づくり名古屋地域ネットワーク)
    内 容:
     畠山氏より「人・街・なごやネット」でのグループホーム部会活動の報告、朝倉氏より宅老所「ヤモリクラブ」(とよはし生活リハビリクラブ)での実践活動を中心に、話を伺った。
     グループホームは、小人数の痴呆性老人の共同生活の場であり、自宅でなく大規模な施設や病院でもない、第三の住まいとも言える場所であり、たらいまわしにされてきた痴呆性老人に安住の地を提供することを目指している。スウェーデンで知的障害者を対象として始まったものを輸入した経緯から、北欧スタイルが定着しており、日本の文化に合った様式変更が模索されている。
     宅老所は、既存の収容施設への反省から、在宅的ケアを目指したデイサービスを自発的に始めたものが最初であり、その後、ナイトサービス、ショートスティ、住み込みなど、多様な形態をとっている。
     グループホームも、投書は、治癒帰宅への橋渡しを目指したショートスティから始まったが、ショートスティでは治癒しないケースも多く、ナイトサービス、ディサービス、ホームヘルパーへと変貌を遂げており、グループホームと宅老所はお互いに近い性格を帯びてきている。
     グループホームや宅老所が必要となってきた背景には、核家族化や都市への人口集中などの、戦後の家庭環境の変化の影響も大きいと思われる。

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    JR東海セントラル・タワーズ 見学会

    日 時:11月12日 10:30〜11:30
    場 所:JR東海 セントラル・タワーズ 建築工事現場
    内 容:
     完成間近のJR東海 セントラル・タワーズ を見学し、建築構造、除装置などの説明を受けた。

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    1999年12月例会

    日 時:12月16日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509号室
    内 容:情報交換市・忘年会
     会員同志が最近の業界情報を持ち寄り、情報交換を行うと伴に、親睦を図った。

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