NIMRA 2005年の研究会

  • 総会 (2005.1.26)
  • 2月例会:丸山 茂樹 氏「少子高齢化と日本の外国人受入れ政策について」(2005.3.2)
  • 3月例会:阿竹 克人 氏「celestia 〜2005年宇宙の旅〜」(2005.3.23)
  • 4月例会:冨田 健嗣 氏「歯なしにならない歯の話 ー健康長寿と高齢者歯科ー」(2005.4.27)
  • 5月例会:伊藤 健吾 氏「アルツハイマー病と脳画像」(2005.5.18)
  • 6月例会:千賀 重安 氏「市町村合併と地方自治について」(2005.6.22)
  • 7月例会:畠山 順嘉 氏「今、話題のリフォームのお話し 〜 健全なリフォーム事例より 〜 」(2005.7.27)
  • 9月例会:島田 金治 氏「桃介と貞奴」(2005.9.22)
  • 緑蔭講座:高橋 徹 氏「伊勢河崎商人館と河崎まちづくり衆のとりくみ」(2005.10.29)
  • 11月例会:津田 明人氏 氏「税理士の目からみた最近の名古屋地区の動向」(2005.11.22)
  • 12月例会:情報交換市(2005.12.7)
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    2005年総会

    日 時:1月26日 19:00〜21:00
    場 所:リビエール(栄)
    内 容:
     2004年決算、2005年役員人事、2005年事業計画について審議し承認を得た。
     会長:阿竹 克人

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    2005年2月例会

    日 時:3月2日 19:00〜21:00
    場 所:大名古屋ビル8階 IC Nagoya
    テーマ:「少子高齢化と日本の外国人受入れ政策について」
    講 師:丸山 茂樹 氏(I.C.Nagoya代表取締役、NIMRA会員)
    内 容:
     「今、日本には何人の外国人労働者が働いているのか?」この問題に答えられる日本人は決して多くない。外国人労働者の受け入れについて、ここ数年来、議論はされつつも具体的な実行策は行われてこなかった。いったい、今、何人の外国人労働者が日本に居るのだろうか? 日系ブラジル・ペルー人、研修生、留学生、就学生等を合計すると120万人の外国人労働者が居ると言ってもピンと来ない日本人ばかりであろう。
     しかし、フィリピンとのFTA(二国間貿易交渉)の要求項目として看護士、介護士の受け入れがにわかに登場する事で具体的な人数が示されつつある。また、団塊の世代の定年に伴い、若年労働力の不足、社会保険等の納付者の減少、保険・年金制度の崩壊などの問題を考えると、低賃金労働者としてだけではなく、日本人と同等の待遇での雇用も、いずれ考えなければならない時代に突入するであろう。
     少子高齢化によって日本が小さな国に縮小していく事が安全・安心な日本を作り得るか? 生産者人口が減る事は、税金を納める人口も減る事を意味する。毎年、200万人が退職する時代に、年間60万人の外国人労働者を受け入れるとは決して言えないが、活力ある日本を維持していく為には、静かでゆっくりとでは有るが外国人労働者の受け入れは不可避である。日本の林業・農業は誰が守って行くのか? 林業・農業従事者は既に人材難にある。在宅介護は誰が担うのか? 核家族化によって在宅介護が難しくなる中、高齢者活用と勇ましく言ってみたところで、目や耳や足腰の弱った現代の高齢者にこの様なサービス労働を求める事も非現実的であろう。それを悟るまで手をこまねいていた時、日本は、いったい、どうなっているのだろうか? 日本丸は、当に、海図も持たず船長不在で航海しているのと同じである。(文責:SM)

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    2005年3月例会

    日 時:3月23日 19:00〜21:00
    場 所:大名古屋ビル8階 IC Nagoya
    テーマ:「celestia 〜2005年宇宙の旅〜」
    講 師:阿竹 克人 氏((有)阿竹空間設計研究所所長、NIMRA会員)
    内 容:
     celestiaという宇宙空間を精密にシミュレートできるコンピュータソフトを用いて、美しい画像で宇宙旅行を楽しんだ。フリーウェアであるにもかかわらず、聴講者から「高いソフトなんでしょうね」という声が多く寄せられた。
     宇宙旅行はまず当日のリアルタイムの地球を宇宙から見た画像からスタートした。日本列島が夕闇に包まれて都市の明かりが宇宙からも確認できる。北朝鮮の都市だけが暗い様子も見て取れる。先ごろアメリカの政策変更のおかげで維持が危ぶまれている国際宇宙ステーションの同時刻の位置もクローズアップで追跡できる。次に、満月に近い月の近くに行き、月を近景にして地球と並べることにより、月の大きさに対する実際の距離を確認した。その後、太陽系の惑星と衛星を外から順に回った。探査機から送られるデータを元に構成しているので、まだ探査機が届いていない冥王星などは地上からの観測データに頼っているせいでぼやけている。反対に、探査機が近づいた小惑星のガスプラと60kmほど離れて回っている衛星ダクティルなどは、リアルな画像が表示される。小惑星としては最近セレスより大きなものが冥王星近傍でいくつか見つかっており、エッジワースカイパーベルト天体と呼ばれている。これらはメタンや氷でできており、小さなものが軌道が変化して太陽近傍に落ちてくると彗星になると考えられている。さらに外側のオールトの雲といわれる部分にも冥王星に近い大きさの星が見つかっており(セドナ)その巨大な軌道を表示し、近づいてみた。やや赤いという以外はもっともらしいデータの使いまわしであることがわかる。選んだ星の直径や表面温度などの情報が表示されるが金星の表面温度のほうが地球より低いのはなぜかといった専門的な質問も出された。データは大気上層部のもので温室効果ガスが多いほど、大気上層部の温度は小さくなるようである。
     土星のリングが圧巻だった太陽系を離れて、アルファケンタウリやシリウスなど近くの恒星をまわりその星から太陽がどんな風に見えるかを確認する。30億年後に銀河系と衝突するといわれているアンドロメダ銀河まで行き、銀河系とマゼラン雲を含む局所銀河群のまわりをぐるぐる回る。地球から星座として見られている星の広がりも確認できる。銀河系にもどって、最近たくさん見つかっている太陽系外の惑星系をいくつか探訪し、最後に国際宇宙ステーションISSに戻って2時間弱の宇宙旅行を終えた。(文責:KA)

    celestia ホームページ: http://www.shatters.net/celestia/
    操作解説(日本語版): http://www6.ocn.ne.jp/~vas/85celestia.htm

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    2005年4月例会

    日 時:4月27日 19:00〜21:00
    場 所:大名古屋ビル8階 IC Nagoya
    テーマ:「歯なしにならない歯の話 ー健康長寿と高齢者歯科ー」
    講 師:冨田 健嗣 氏(冨田歯科院長、NIMRA会員)
    内 容:
     健康長寿から最新の高齢者歯科について、スライドを用いて講演した。不老長寿は人類の長年の夢である。最近では、平均寿命より健康寿命という言葉がよく使われるが、長寿県である長野県で始まったPPK(ピンピンコロリ:長患いをせず寿命と健康寿命の差を縮めて行こういうキャッチフレーズ)を目指したいものである。近年、食文化、食生活習慣、食育、スローフード、フードファディズムなど、社会の食に対する関心が非常に高まっている。食を満足におこなうためには、当然、虫歯や歯周病を予防・治療し、噛む環境を整えることは欠かせない。加齢(エイジング)に伴い、身体の機能は全般的に低下し全身性・慢性疾患が増加する一方、精神的な機能、特に知的機能については結晶性能力(従来から蓄積された知識・判断・思考)が生涯を通じて高揚するとも言われている。
     高齢者歯科といっても、高齢者だから特別な治療方法があるわけではない。しかしながら、通院が困難な寝たきりの要介護高齢者において、口腔ケアを徹底することにより肺炎を予防できるというエビデンスが明らかになったことは意義深い。胃ろうや経管栄養に依存しないように、口腔感覚を楽しめるよう口から食べられることの重要性を強調したい。口から食べられることは、生きる喜びや精神的・社会的な満足感が増し、精神的安定につながる。残っている歯が少ない高齢者は、記憶に関係する海馬や高次機能の前頭葉の容積が減少し、認知症(痴呆症)になりやすいという研究報告があった。歯の噛む感覚は、数十ミクロンという髪の毛1本分が識別できるくらい非常に鋭敏である。噛む運動は、脳への刺激が非常に強い。80歳になっても20本以上歯を残そうという8020運動は徐々に普及してきている。歯は、QOLや全身的・精神的健康に影響するため、歯の健康は、アクティブ・エイジングにつながると言えよう。
     実際の高齢者歯科治療の症例では、参加者の関心もあって、効率的なブラッシング方法や最新のインプラント治療、金属バネがなく弾性のあるナイロン製義歯などについて、活発な質問が寄せられた。当然のことながら、歯無しにならない方が良いわけで、全般的に予防の話を前面に出すよう努めた。時間の都合により、介護保険や要介護認定についてはふれることができなかった。(文責:KT)

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    2005年5月例会

    日 時:5月18日 19:00〜21:00
    場 所:大名古屋ビル8階 IC Nagoya
    テーマ:「アルツハイマー病と脳画像」
    講 師:伊藤 健吾 氏(国立長寿医療センター長寿脳科学研究部 部長)
              日本核医学会(理事、評議員、PET核医学委員会委員長)
              日本医学放射線学会(代議員)
    内 容:
     認知症と加齢による認知機能低下は区別が難しいが、社会生活に支障をきたす状態が認知症とされる。85歳を過ぎると27.3%が認知症と言われ、統計的に女性の方が多く発症している。要介護認知症患者数は2002年に149万人だったのが2030年には353万人と予測され、認知症の中でも頻度の高いアルツハイマー病の制圧が社会から求められている。
     国立長寿医療センター長寿脳科学研究部ではSPECT/PETやMRIなどの最新設備をもちいて、脳画像によるアルツハイマー病の早期発見のための研究が行われている。個人の脳は個々別々なので標準脳(解剖学的標準脳)に置き換えて数学的に同一座標系で統計学的に画像統計分析される。 会場ではPETやMRIで撮影された数多くの脳画像が映し出された。側頭頭頂葉の機能低下や海馬の変化、脳へのAβ(老人班)の蓄積にともなった進行などがよくわかった。PETは薬をかえればいろいろの機能が映し出せる。
     現在、軽度認知症(MCI)を対象としてアルツハイマー病の早期診断に関する研究が行われている。500人の患者が参加して、3年後に初診時の画像とアルツハイマー病への移行の有無を比べて予見の精度を確認する。この研究が成功するとMCIの段階での早期診断方法が確立され、治療薬の開発も進んでいることからアルツハイマー病の早期診断・治療が可能になる。
     国立長寿医療センターは大府市の市民病院的な性格も持ち一般診療も行っている。2001年4月には「もの忘れ外来」が開設された。(月〜金の午後、月火水の午前。予約制) 予防は機能を使うこと。新聞・雑誌を読んだり、知的ゲームをしたり、対人的接触の必要性に心がける等、これらによって発症に8倍の差がでるという報告もある。
    (文責:TS)

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    2005年6月例会

    日 時:6月22日 19:00〜21:00
    場 所:大名古屋ビル8階 IC Nagoya
    テーマ:「市町村合併と地方自治について」
    講 師:千賀 重安 氏 (大府市市議会議員)
    内 容:
     平成の大合併は、市町村数を3100から1000に削減することを目標にして推進している。過去においても、明治の大合併では70000から15000に、さらに、敗戦後の昭和の合併では10000から3000に削減し、現在に至っている。
     今なぜ合併なのか? 一般的な要因として財政難がある。平成15年における国と地方を合わせた借金の総額は700兆円あり、さらに拡大する様相を呈している。財政難で困窮するイタリアを超える今、まさしく破産状態にあると言えるかもしれない。平成の大合併はもともと、国の財政再建のための取り組みという意味合いが強かった。分権の推進を掲げるのなら、国から地方への権限と財源の移譲をしっかり進め、住民の意思が反映されやすい環境を整えるのが先決である。そうでなければ、ムリ・ムダが生じて本当に必要な公共事業は出来ない。少子高齢化によって、近い将来、3人に1人が65歳以上となることが避けられない状況の中で、小規模な市町村が今後とも単独でやっていけるか何の保証もない。そこに合併の意義がある。
     大府市と近隣の3市1町(大府市・東海市・知多市・東浦町)も合併に向けた動きがあり、平成18年度末までに任意合併協議継続の是非を判断する運びとなっている。この7月よりタウンミーティングによる住民説明会が実施されるので、現状と合併の意義を認識し、住民・行政職員・議員が一体となって、「総論賛成、各論反対」の枠を超えた前向きな議論を積み上げなければ、”南セントレア”の轍を踏むことになる。
    (文責:HM)

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    2005年7月例会

    日 時:7月27日 19:00〜21:00
    場 所:大名古屋ビル8階 IC Nagoya
    テーマ:「今、話題のリフォームのお話し 〜 健全なリフォーム事例より 〜 」
    講 師:畠山 順嘉 氏(畠山都市建築事務所代表、NIMRA会員)
    内 容:
     まず最初に、木造住宅の簡易耐震診断法について、国土交通省監修のフリーソフト「我が家の耐震チェックプログラム」を用いて解説して頂いた。家の間取りと柱や壁の配置を入力し、土壌や基礎の頑強さを選択することにより、木造住宅の簡易耐震診断を簡単に行うことができる。このソフトは、一般市民を対象としたパソコンソフトだが、地方公共団体での簡易診断にも使用されている。ただし、あくまでも目安程度の簡易診断であるので、実際に対策する際には専門の診断士による診断が必要である。
     次に、同ソフトによる実例を用いて、耐震補強の要点を説明頂いた。木造耐震補強の要点は、第一にバランスのとれた壁補強、第ニに予算に応じた基礎補強、第三に必要に応じた小屋裏や床下補強が重要である。その点、いわゆる悪徳リフォーム業者の場合は、小屋裏や床下などの施工が容易な箇所ばかりに、偏って不必要な施工をしている場合が多いので注意が必要である。
     最後に、愛知ゆとりある住まい推進協議会主催の「我が家のリフォームコンクール」特別賞受賞を含む2件のリフォーム事例について、スライドを用いて紹介頂いた。特に、特別賞の事例では、認知症の老父を介護している住宅において、バリアフリー改造に合わせて耐震補強を施した結果、ご家族から「認知症のお父さんが、寝室からリフォーム後の居間に移られると、その場所を気に入って、今まで以上に、なかなか寝室に戻られない。」との感謝の言葉を頂くことができ、コンクールでもその点が評価された。バリアフリーなどのリフォームの際に、改造する部分に応じて耐震補強を折り込む工夫が重要である。
    (文責:YH)

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    2005年9月例会

    日 時:9月22日 19:00〜21:00
    場 所:矢作建設工業本社 会議室
    テーマ:「桃介と貞奴」
    講 師:島田 金治 氏(歴史研究家)
    内 容:
     明治から大正にかけて、日本の電力産業の礎を築いた電力王、福沢桃介と、日本最初の女優ともいわれる川上貞奴を中心とする人間模様について、歴史研究家の島田金治氏からお話を伺いました。尚、桃介と貞奴の邸宅は、今年、名古屋市東区の橦木町に移築復元されて「二葉館」としてオープンしています。以下に講師による講演原稿を掲載します。
     先ず、この話は実話であるということです。明治の初頭に生まれた二人は、新政府の元で、刻々と大きく変わっていく国情に合わせたかのように、その変化に対応して力強く生きていきます。問題は、あれ程までに日本経済界に活躍した桃介ではあるがそれほど一般大衆には知られていないと言う事です。福沢諭吉の娘婿である桃介は、義父の存在が余りにも大きかっただけに、その影に隠れた感じがいたします。貞奴は、日本最初の女優第一号と言われた芸能人であり、桃介と比べて知名度は相当高かったかと思われます。
     桃介の興した事業は主に電力と鉄鋼です。特に電力事業の方は誰にでも出来る仕事ではありません。膨大なる資金力が必要です。昨今のように株式フアンドのような機構でもあれば別ですが、当時は一企業の実力で始めるわけです。国の政府がやるような大事業をやり遂げたのです。
     電力はその当時石炭火力が主力でした。生産コストが高くつき、一般家庭ではその変動にはついていけません。当然電力会社が窮地に追い込まれます。それを見た桃介は水力発電に挑戦していきます。関西と関東の中央に位置した中部に流れる木曽川に目を向けたのです。無尽蔵にある木曽川の水で、電気を起こそうと広大なる構想を描いたのです。この構想も元はと言えば、福沢諭吉が常に説いていた持論だったのです。そこに着目して実行に移していく桃介。元来体が弱くて無理の出来ない体でありながら、その無理がたたって何回も喀血する。その養生の間に覚えた株式で、数年の間に巨万の富を築く。その金を資金にして、木曽川の水力発電に邁進していく。途中幾度かの難関に遭遇するが、知的人材である慶応義塾の知人友人に助けられ乗り切っていく。地元の反対者を向こうに回して、御用林の山林鉄道を設置したり、桃介橋を造ったり、はたまた地元自治体に寄付をしたりして難局を乗り切っていく。その影には、この貞奴の存在は無視することは出来ない。むしろ貞奴がいたればこそ、この大事業を成し遂げたともいえるのであると思います。
     日本政府の鹿鳴館から始まった応接外交、それを模して東京に「桃水荘」名古屋に「二葉荘」南木曽に「大洞山荘」と別荘を造り、そこを拠点にして応接外交を繰り広げていく。その応接外交の主役は、大女優の貞奴であった。貞奴は芸者置屋に居たときから出入りの客である政界の大物と顔見知りとなっていたのである。特に伊藤博文の妾となった関係上、国を動かす人物たちと知友の中だったのです。桃介はその辺を素早く見抜いていた。貞奴にしてみれば、桃介は初恋の人であり、どんな苦労でもいとわないという気持ちが一杯であった。運命の出会いのこの二人の呼吸はぴったりと合っていた。
     貞奴はその応接外交で要人達を最大限に接待した。夜の宴会などは貞奴に会いたくて集まってきた人が多かった。芸者時代から修行して覚えた客扱いは手馴れたものであった。主人の桃介は体が弱くて宴席は苦手であった。貞奴は妻であり、秘書であり、参謀でもあった。10年間で水力発電を完成し、その豊富な電力を消費するために、名古屋臨海工業地帯に工場誘致を図り、又電力を消費する事業、鉄道、鉄鋼、その他に手を広め参画していった。桃介にとっては、この貞奴の存在は何物にも変えがたい財宝であったのです。
     ところが桃介には東京に正妻の房が居た。貞奴はこの不自然な関係を整理しようと60歳になった桃介に三行半を下すのである。桃介にとって、人生の大事業は終わった。この別れの宣言は貞奴にとっては胸の張り裂けんばかりの出来事であったことだろう。渋谷の本邸に戻った桃介は、房に受け入れられず別棟を立てて暮らすことになる。71歳で亡くなるが、葬式の段取りは貞奴が準備し、写真までも手配したのである。こうして桃介は一生を終えていくが、その家族たちは不遇な人生の結末であった。恭慎の念に駆られるのみである。
     最後に一言付け加えるならば、電力の鬼といわれた松永安左エ門はこの桃介の門下生であり、主、従の関係であった。事業に対する手法を全て桃介から見習い、桃介亡き後、日本の電力の鬼として君臨したのである。
    (文責:NT)

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    2005年緑蔭講座

    開催日:10月29−30日(土日)
    行き先:伊勢河崎
    講 師:高橋 徹 氏 ((有)高橋徹都市建築設計工房 主宰)
    パネラー:吉川 真知子 氏 (外宮にぎわい会議)、郡 長昭 氏 (作家)
    内 容:
    ・新造和船「みずき」による勢田川周遊
    ・神社(かみやしろ)二軒茶屋の町並み見学
    ・河崎の町並みと伊勢河崎商人館見学
    ・講演「伊勢河崎商人館と河崎まちづくり衆のとりくみ」
    ・外宮、内宮参拝、おかげ横丁見学
    ・勢田川源流養命滝と鼓ヶ岳登頂
     初日はやや遅れて河崎町人館近くの川の駅から勢田川周遊に出ました。少雨でしたが、チャーターしたみずきは屋形船なので風情を楽しめました。行程は神社(かみやしろ)港まで行って上陸し資料館と町並み見学、帰りに二軒茶屋によって、お茶と餅がサービスされました。河から見る伊勢は新しい体験で、川沿いには一色など能楽を伝える集落などもあり、高橋先生のガイドで昔の船参宮がしのばれました。
     宮川と五十鈴川は清流ですが、それはこの勢田川が伊勢市の汚れを一手に引き受けているからだといいます。三年後をめどにようやく伊勢の中心市街地の下水整備がすすむので、そのあとはカヌーも昇れる川になると期待されています。
     高橋徹氏の講演は河崎の歴史にはじまり、河崎の町並みの特徴が解説されました。1974年の勢田川水害による行政主導の河川改修が大幅な移転を伴うものだったため、これに反対して河崎の伝統と町並みを守る取り組みとしての民間からの動きが、おかげ横丁の成功もあり、しだいに行政に理解されてきた様子が紹介されました。人が生活している町として、新しく建ったものも否定せずに中に取り込んでいく考え方が、関や奈良井などと違うようです。
     河崎商人館は旧小川酒造の土地建物を改修したもので、施設整備は行政がおこない、運営はNPO河崎まちづくり衆に委託されています。入場料収入等が直接NPOにはいる独立採算制になっているとのことです。
     最後は時間延長して阿竹を含む伊勢出身の4人が前に座るパネルディスカッション風になり、吉川真知子さんから伊勢春慶復興の話、伊勢ゆかりの人物伝を中日新聞に連載している郡長昭氏から、西行法師のお話などを伺いました。
     河崎の町屋を改造したあじっこでの懇親会は大いに盛り上がり、宿舎の星出館に移動しました。星出館はほとんど宮崎アニメ「千と千尋の神隠し」の世界で、なにも何億もかけてさつきとメイの家を再現しなくても、まだ日本には昭和30年代そのままの建物が残っているようです。
     翌朝も外宮にぎわい会議の吉川真知子さんのガイドで外宮に参拝、外宮のすぐ近くで生まれた阿竹も知らないイワレをいろいろ聞けました。
     勢田川水源域に近い養命の滝は前日の雨のおかげか水量も多く、記念撮影。参加者のうち三人がここで帰り、吉川さんと林さんが中腹の見晴らしの丘で引き返し、残った6人が天空界道から鼓ヶ岳を縦走して内宮のおかげ横丁まで行きました。晴れて見晴らしも良く昨日みずきでまわった勢田川の河口がよく見えました。
     おかげ横丁とおはらい町は万博並みの大混雑で、観光地として内宮の一人勝ち状態が良く分かりました。この人たちも知っていればきっと外宮や河崎に来てもらえるのにという感想をいだきました。
     外宮にぎわい会議では次の遷宮に向け神話を題材にしたイベント等を企画し、盛り上げていくとのことでした。
    (文責:KA)

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    2005年11月例会

    日 時:11月22日 19:00〜21:00
    場 所:矢作建設工業本社 会議室
    テーマ:「税理士の目からみた最近の名古屋地区の動向」
    講 師:津田 明人氏 氏 (税理士法人 津田明人税理士事務所 本社代表社員)
    内 容:
     税理士法・会計基準・コンプライアンス(法令遵守)などにより求められる「税理士としてのあるべき姿・判断」と顧問先の姿勢・判断に大きな格差が生じた時の対処法。実際の財務諸表(もちろん匿名、例会後に回収)を使っての「財務分析」の説明。「税額計算」の一例として、相続税計算の基礎となる「路線価表」や「倍率表」の見方。「土地権利評価明細書」による評価方法の説明。相続対策の内容により税額が大きく変動するモデル事例。「M&A」についての臨場感溢れる説明。近年の時価会計・税効果会計などの「新基準が中小会社にもたらす影響」。「新会社法」の施行による監査役権限の変化と定款変更の必要性。当地区でも活況を呈す「REIT(不動産投資信託)」の仕組み。不動産市場の変化に対する当地区資産保有者の動向。質疑応答では、「アパートを建てると何故相続税対策になるのか。」「商法改正の狙い。」・・・・
     2時間という限られた時間の中で本当に色々なことをお話しいただきました。しかも、当地区における数多くの実例を挙げながら。これにより、当地区の最近の動向・企業活動の実際の姿を、ごく一部でしょうが理解できたような気がします。また、横断的・横串的なコンサルティング活動を展開される税理士の職務内容の広さ深さも痛感させられました。
    (文責:NS)

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    2005年12月例会

    日 時:12月7日 19:00〜21:00
    場 所:矢作建設工業本社 会議室
    内 容:情報交換市
     忘年会を兼ねて、会員が持ち寄った情報を交換する情報交換市を行いました。

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