『知多半島・東浦町におけるため池(厄松池、切池、飛山池)と里山を守るために』

神谷明彦(東浦町議会議員)

東浦町の概況

 知多半島の付け根の“East Coast"、名古屋からJRで30分、境川を渡るとお隣は刈谷市。この10年間で、自動車関連工場やイオンショッピングセンターなどが進出し、現在人口4.9万人で増加中。
 これまでは従前の環境を破壊して開発することが「発展」=「善」であったが、これからは経済も人口も環境もコミュニティも“Sustainable”であることが重要。

厄松池、切池、飛山池と里山の位置関係とその状況

 厄松池、切池は市街地に囲まれた池。ゴミのポイ捨て、外来水生植物の繁茂、悪臭などが問題だった。そこで、平成11年から有志で厄松池の草刈、掃除、ホテイアオイの除去を行っている。また、毎月水質検査を行っている。平成15年からは、近くの小学校が道徳教育・環境教育の一環で、池の掃除に加わるようになった。
 切池はへドロとボタン浮き草で機能していなかった。公民館に近いこともあって、舗装して駐車場にする案も出たが、防災の観点からも水辺を残すこととなり、町が浚渫、バイパス水路で生活排水の流入を防いでいる。 近い将来、公共下水が完成すれば、汚水は入らなくなるため、地域住民も参加した形で、これらの市街地における水辺の将来を考えていきたい。
 飛山池はオニバスが自生する町内最大級のため池。自然公園にする計画があるが、周囲では資材置き場化が進行中。最近になって町が保全のための借地交渉を進めている。

 飛山池の東に広がる雑木林は、町内に唯一残る2つ以上の尾根を持った厚みのある里山。飛山池と一体で自然公園として、次世代に残していきたいところだが、宅地開発計画が持ち上がっている。地権者が買収に応じ、開発業者と行政の協議が整えば、里山は造成され宅地に変わってしまう運命にある。
 一方、町は、 別の場所にある民間企業所有の保安林を借りて、竹林伐採、ビオトープ造成を進め、「自然環境学習の森」として整備する意向。しかし、飛山池東地区と比べて、規模、景観の面で劣るのが痍念。造成工事に頼らず、時間をかけて自然を再生していくことを望むが・・・。