NIMRA 2009年の研究会

  • 年次総会 (2009.1.21)
  • 2月例会:丸山 茂樹 氏「留学生30万人計画と外国人労働者と受入れの課題」(2009.2.25)
  • 3月例会:阿竹 克人 氏「地球温暖化と砂漠化を阻止する雲の飛行船構想」(2009.3.26)
  • 4月例会:冨田 健嗣 氏「男女比較から健康寿命を考える」(2009.4.22)
  • 5月例会:古川 亜矢 氏「スペイン語への招待」(2009.5.28)
  • 6月例会:山田 理世 氏「赤道を越えた欧州、ブラジル」(2009.6.24)
  • 7月例会:谷田 真 氏「ヨーロッパにおける建築と現代アートの風景」(2009.7.22)
  • 緑蔭講座:福井県勝山市 (2009.9.12-13)
  • 10月例会:中村 文美 氏「エコと低周波音問題」(2009.10.29)
  • 11月例会:森 富雄 氏「今話題のダムに関する話」(2009.11.18)
  • 12月例会:情報交換市 (2009.12.2)
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    2009年総会

    日 時:1月21日(水)19:00〜21:00
    場 所:リビエール(栄)
    内 容:
     2008年決算、2009年役員人事、2009年事業計画について審議し承認を得た。
     会長:柴田 利実

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    2009年2月例会

    日 時:2月25日(水)19:00〜21:00
    場 所:I.C.Nagoya 12番 教室
    テーマ:「留学生30万人計画と外国人労働者と受入れの課題」
    講 師:丸山 茂樹 氏 (I.C.Nagoya 校長、NIMRA会員)
    内 容:
     外国人受入問題は年を追うごとに複雑化してきている。昨年の例会に引き続いて、「留学生30万人計画」ならびに「低賃金労働者化した研修生問題」を取り上げた。前半の1時間は、講師より、高度人材受入推進会議 第2回 実務作業部会の資料を基にして、当地域で問題が顕在化している日系人労働者とその子弟の教育問題等をめぐって、様々な所で省庁を巻き込んで進められている動向について解説があり、後半の1時間は、参加者のフリーディスカッションにより、今国会に提出された改正入管法によって、外国人住民基本台帳制度整備や、やっと実施が始まる定額給付金の外国人への給付の意味するもう一つの側面等も織り交ぜて、意見交換を行った。
     その中で、特に、日系人の失業と子弟の教育問題は密接なつながりを持つことに対して、税金での費用負担をどのように考えるのか、外国人労働者受入に関しては応分の費用負担が発生し、手間も時間もかかる事等、参加者一同が認識を新たにする事となった。
     ここ数年2月例会は様々な外国人問題を取り上げて来たが、国政レベルの議論よりも東海地区の人的国際化が際立って進んでしまっている事は、名古屋国際都市問題研究会における今後の大きな研究課題として注目していくべきものと認識を深めた。
    (文責:SM)

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    2009年3月例会

    日 時:3月26日(木)19:00〜21:00
    場 所:I.C.Nagoya 12番 教室
    テーマ:「地球温暖化と砂漠化を阻止する雲の飛行船構想」
    講 師:阿竹 克人 氏((株)阿竹研究所 代表取締役所長、NIMRA会員)
    内 容:
     阿竹研究所が環境省に提案している地球温暖化と砂漠化を阻止する「雲の飛行船構想」 について、提案者の阿竹氏から概要と技術的背景について説明があり、参加者と意見交換した。
     雲の飛行船構想はもともと2005年の愛地球博に1/20万の地球月系を展示するバルーンアースプロジェクトから派生したもので、その大元はバックミンスターフラーの空飛ぶジオデシックドーム構想である。これは直径一マイルほどの金属球体を作ると、その構造体の重量は中の気体の重量よりはるかに小さくなり、太陽熱による数度の温度上昇で浮上して成層圏にまで達するというものであるが、阿竹は、赤外線吸収膜と透過膜の二重膜構造で断熱層をもうければ、はるかに小さなスケールでも数十度の温度上昇が得られ、水蒸気などを有効利用すれば成層圏にまで到達できることを示したものである。
     この技術を生かすと太陽電池の廃熱を有効利用して飛ぶ飛行船が得られ、二重膜の断熱層の酸素を抜いて、中東から日本に天然ガスを気体のままジェット気流にのせて運んだり、行きには日本から中東に大量の水を水蒸気の形で低緯度偏東風にのせて運ぶミッションが考えられる。水を水蒸気にして風に乗せて運ぶのはまさしく気象のシステムそのもので、長さ300m直径100mくらいの飛行船にすれば乾燥地帯に1000t単位の水を運ぶことができ、防風林などを育てられれば砂漠化を防ぐ手段になりうる。また水と一緒に化学肥料の原料のアンモニアも気体で運ぶことができる。
     この構想は、環境省のグリーンニューディール政策に提言されたほか、科学技術振興機構の技術開発のシーズ募集にも応募予定。当日は中日新聞の取材が会ったほか、討論では、砂漠化を防ぐためには、水道を建設したほうが早いといった活発な意見も寄せられた。
    (文責:KA)

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    2009年4月例会

    日 時:4月22日(水)19:00〜21:00
    場 所:I.C.Nagoya 12番 教室
    テーマ:「男女比較から健康寿命を考える」
    講 師:冨田 健嗣 氏(冨田歯科院長、愛知県歯科医師会地域保健部員、NIMRA会員)
    内 容:
     愛知県歯科医師会は、平成元年度より、全国に先駆けて、かかりつけ歯科医の推薦による8020(80歳で20本以上自分の歯を保つ運動)達成者の表彰事業を展開し、過去20年間の表彰者数の合計は2万人を超えている。今年6月に開催される日本老年歯科医学会において、愛知県歯科医師会から8020表彰者追跡調査第2報として、「8020達成後の超高齢者の健康状態と寿命に関する男女比較」の発表を予定している。そこで今回は、データをベースにして、参加者と意見交換を行った。
     疾病罹患や脳機能についての議論は、男女比較の観点から論じられることが多く、平均寿命についても男女差が認められ、女性は男性よりも平均寿命が長いことが知られている。また、2000年にWHOから提唱された「健康寿命」(日常的に介護を必要としないで自立した生活ができる生存期間)を比べても、2004年の日本人の健康寿命は、男性で72.3歳、女性で77.7歳、全体で75.0歳であり、世界第1位である。残された問題点は、平均寿命と健康寿命とに差があることであり、日本では6年以上ある。この差を縮めるために、厚生労働省は「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」を定めて、健康づくりによる生活対策を全国的に呼びかけている。つまり、「寿命の量から寿命の質へ」発想の転換が求められている。
     愛知県歯科医師会の調査結果では、8020達成者の死因は加齢に伴い3大疾病の占める割合が減少した。推定90歳では、男女ともに肺炎が25%で上位を占め、推定100歳では老衰が40%以上で第1位を占めた。また、8020達成者の寿命は、男性87.5歳、女性87.6歳であり、愛知県内の平均寿命(平成19年、男性79.4歳、女性85.9歳)より長く、全対象者で男女差が認められなかった。特に男性の8020達成者の寿命は、愛知県男性平均寿命と比較して、その延びが約8年も見られた。これらの結果から、健やかで活力ある長寿社会の実現に向けて、8020運動による歯科保健行動(習慣)が健康寿命の延伸の指標となることが示された。
     参加者との意見交換を通して、本邦で慣用され曖昧な部分もみられる「老衰」や「享年」の定義、解釈を再確認することもでき、大変有意義な例会であった。
    (文責:KT)

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    2009年5月例会

    2009年5月例会
    日 時:5月28日(木)19:00〜21:00
    場 所:矢作建設 本社 8階会議室(葵センタービル)
    テーマ:「スペイン語への招待」
    講 師:古川 亜矢 氏(スペイン語通訳・翻訳家、南山大学外国語学部スペインラテンアメリカ学科非常勤講師)
     始めに、スペイン語を公用語としている国(中南米・スペイン)の地理と歴史について、地図を見ながらお話いただき、瞬時の旅をしているような気分を味わいました。スペイン語の使用人口は3.3億〜4.2億人で中国語、ヒンズー語に次ぐ世界3位(ヒスパニックを加えた場合)。音声・語彙・文法的な地域差は著しくコミニュケーションを妨げることのない程度に通じ合う特徴がある。carta、capa、castilla、pan 等、南蛮交易により流入、外来語として日本人に身近な言葉。また発音上の親しみやすさか、Vamos、Cefiro、Primera、Moco 等、商品名に多く起用されている。San Francisco、Los Angeles、Las Vegas、Casa Blanca、Colorado 等の地名もスペイン語です。発音は一部の語を除きローマ字読みでよいので、日本人には馴染みやすい外国語です。
     後半は、アルファベット、名詞の性、名詞の複数形の作り方、冠詞と形容詞、主格人称代名詞、動詞の活用について習い、最後はスペイン語の挨拶をみんなで発音・習得しました。
     90分という短い時間に、世界の旅からスペイン語会話まで盛りたくさんのお話があり、それを予期してか参加者16名と部屋も満室、質疑も活発で9時まで目一杯の充実した例会でした。
    (文責:TS)

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    2009年6月例会

    日 時:6月24日(水)19:00〜21:00
    場 所:I.C.Nagoya 12番 教室
    テーマ:「赤道を越えた欧州、ブラジル」
    講 師:山田 理世 氏(日本語講師)
     7月例会は、教室の定員を上回る30人近くの参加者があり、机を外に出しても立錐の余地がなく、会場に入り切れなかった方も見える程、大盛況でした。会員外の方がこれだけ参加されるのは、久々のことでした。
     まず、講師提供のウェルカムドリンク「カシャサ」ベースのカクテルと、ブラジル人の大好きな食材(チーズ、サラミ、クリーム)を使ったおつまみが振舞われ、また、ブラジルの音楽と映像でヨーロッパ風の雰囲気に包まれながら、少しほろ酔い気分の中、ブラジルについて興味深いお話を伺うことができました。
     新興経済国BRICSとして持ち上げられる一方で、この地方では日系ブラジル人の方が派遣社員として働かれることも多く、ともすればマイナスイメージで語られることも多いブラジルですが、欧州の子としての別の顔もあるようです。
     ブラジルは旧宗主国ポルトガルを中心にイタリアやウクライナなどヨーロッパ各地からの移民の方々が築き上げてきたせいか、ともかくあっけらかんとしていて、人種や階層などについても違いを認め合い、こだわりのない社会になっているようです。
     講師はJICA派遣で二年間ブラジル各地を跳び回りながら、日系ブラジル人のお手伝いをされたそうですが、高齢化された日系一世のなかには母国に対するわだかまりを示される方もあったとのことです。
     参加者の中にはブラジルに渡航された方も何人かいて、ブラジル談義に花が咲きました。その後の懇親会も会員を中心に多数参加があり、遅くまで盛り上がりました。ぜひ一度ブラジルに行ってみたくなる月例会でした。
    (文責:KA)

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    2009年7月例会

    日 時:7月22日(水)19:00〜21:00
    場 所:I.C. Nagoya 12番教室 (名駅 大名古屋ビル 1階)
    講 師:谷田 真 氏 (名城大学理工学部建築学科助教)
    テーマ:「ヨーロッパにおける建築と現代アートの風景」
    内 容:
     7月例会は舞台をヨーロッパへ移して、建築家の谷田真さんからお話を伺います。
     谷田さんは、今年3月までの1年間、ロンドンを拠点に欧州各地の現代建築や都市、現代アートを取材されてきました。歴史に残る名建築から、現地の最新のアートの動向まで、ホットな話題を取り上げていただけることと思います。

    <講師からのメッセージ>
     「建築に軸足を置いて現代アートを考えてみたい」そんな思いから昨年度1年間、UELの在外研究員としてロンドンに居を構え、14の国を旅してきました。
     今回は旅の途中で出会った建築や現代アートのいくつかを取り上げ、そのコンセプトを概観することで、相互の関連性についてお話したいと思っています。

    <講師プロフィール>
    谷田真(たにだ まこと)1971年生まれ。名古屋大学大学院修了。工学博士。
    2008年4月から2009年3月までイーストロンドン大学(UEL)にて在外研究員。

    谷田研究室HP http://www.tanidaken.sakura.ne.jp/

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    2009年 緑蔭講座

    開催日:9月12日(土)13日(日)
    行き先:福井県勝山市(面積 253.68km2、総人口 25,861人)
    講 師:伊藤 俊一 氏(勝山市観光ガイドボランティアクラブ 会長)
        山本 一郎 氏(はたや記念館ゆめおーれ勝山 館長)
    行 程:
     9月12日(土)
       9:00 マイカーで名古屋発、東海北陸道を経て、金沢市へ。
         金沢市立21世紀美術館を見学。
      16:00 粟津温泉「あわずグランドホテル本館」着
         夕食、懇親会
         (温泉は単純温泉質で透明、設備も良好)
         (夕食はバイキング方式のため一同食べ過ぎの感あり)
         事例紹介1:「英国における都市再生事業」
         事例紹介2:「タイ及びモンゴル国における都市開発事例」
     9月13日(日)
       8:45 ホテル出発
      10:30−12:00 勝山市のまちづくり講演会、現地視察
      12:00−13:15 昼食、懇談会
      13:30−15:00 福井県立恐竜博物館見学(一見の価値有り、70歳以上は無料)
      15:15−16:00 白山平泉寺参拝 (境内一面が苔に覆われた静かな寺院)
             北陸道経由、名古屋へ帰着。
    内 容:
     今年の緑陰講座は、企画と担当者が悪かったのか半年前から宿を予約しながらも参加者は予定の半分以下でした。 それでも、今年の7月例会に特別参加された浜村さんなど女性2人も特別参加となり、楽しい旅となりました。
     最初の日や日曜の朝も多少雨にたたられましたが、日曜日の勝山市では天候も回復し、有意義な緑陰講座になりました。
     特に、勝山市では観光ガイド協会の会長や「夢おーれ勝山」館長からまちづくりの歴史的背景や現状などのレクチャーを受けました。 会議場には「歓迎・・・名古屋国際都市問題研究会様」という看板まで作っていただき、60人ぐらい入る会議室で僅か6人が講義を受ける状況でした。 その後、会長じきじきによる1時間余の現地案内、昼食時には1時間余にわたって名物のそば料理を食しながら色々な歴史的秘話や文化的な特色について話を聞くことが出来ました。

     勝山は小笠原家の古い城下町であると共に明治以降の絹織物の発展と戦後のガチャ万時代を経て1960年代までは繁栄を極めました。最近は産業構造の変革による繊維産業の衰滞により、経済的には弱体化しつつあり、地方都市の苦しみが垣間みれます。かつての栄華は去り、時代の移り変わりと共に地域再生の取組みが模索されています。街のあちこちには、往時の繁栄をしのぶ饗宴の面影を残した建物が、静かな時の流れに消え去る風情でその身をさらしています。栄枯盛衰は世の常とはいえ、時代の流れによって都市は変貌します。

     勝山市は米誌FORBESが行った世界都市比較では神戸市を押さえて世界第9位になったという実績を持っています。どうして勝山が日本で1位、世界で9位の魅力的な都市なのか不可思議でしょうが無かったが、古い街中の見学、県立恐竜博物館、白山平泉寺の苔の静かなたたずまいなど名所を廻り、歴史的な文化の香りに触れると、ある一面で魅力ある都市の価値が伝わってきます。大都市とは違う物差しで見ると、その都市の魅力が分るような気がしてきました。九頭竜川沿岸にたたずむ小都市の割には幹線道路網も整備されており、そして太古から目覚めた恐竜が、この地域の将来を担う核になるような気がします。最近でも恐竜遺跡の発掘が続き、近未来のジュラシック・パークが街全体に広がるかも知れません。福井県立恐竜博物館は、その規模、展示内容についても想像以上に立派な施設であり、勝山の新しいエネルギーを生み出すことになるでしょう。

     前日に訪れた金沢市立21世紀美術館や勝山の恐竜博物館の建築や展示能力、集客力のある魅力的な施設を見ると、大都市名古屋の文化施設の貧困さをしみじみと感じた今回の旅でもありました。
    (文責:KH)

    参考情報

  • 勝山市ホームページ
  • 勝山市案内地図
  • はたや記念館ホームページ
  • 粟津温泉ホームページ
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    2009年10月例会

    日 時:10月29日(木) 19:00〜21:00
    場 所:I.C. Nagoya 12番教室 (名駅 大名古屋ビル 1階)
    講 師:中村 文美 氏 (建築ジャーナル 編集長)
    テーマ:「エコと低周波音問題」
    開催案内:
    1 低周波音被害ってご存知ですか?
    2 政府奨励のエコ商品「風力発電」「エコキュート」で、低周波音被害の発生?
    3 低周波音被害を防ぐにはどうすればいいのか。

     このテーマを取り上げたのは、今年、たまたま、家族と風力発電を見学にいくと建築家仲間に話したところ、「それはやめた方が無難だと」と言われて、自分自身驚かされたことがきっかけでした。エコ推進派である私ですが、しっかり、マイナス面も理解した上で、環境に配慮した住宅設計に生かしたいものです。当日、東京から来ていただきます。万障繰り合わせて、ご参加ください。

    <講師からのメッセージ>
     近年、石油代替エネルギー供給システムとして、風力発電の建設が各地で広がっています。また、省エネ、格安な深夜電力を使ったエコキュートが、大変な勢いで増加しています。ところが、「エコ」と呼ばれるこれらの製品から発せられる低周波音によって、体調不良を訴える被害者が増加しています。弊誌『建築ジャーナル」2009年5月号において、このテーマを特集に取り上げたところ、大きな反響をいただきました。
     低周波音の発生源は、他にもエアコンの室外機、建設工事に使われる大型重機など、あらゆるものから発生しますから、いつ、誰が、低周波音被害に遭遇してもおかしくありません。この問題を知っていただことで、日常生活の見直しおよび、仕事の業務改善につながればと思っております。

    <講師プロフィール>
     なかむら・あやみ|愛知県安城市出身。1995年立命館大学産業社会学部卒。
     メーカー勤務を経て、1998年建築ジャーナルに入社。2009年1月編集長就任。

    講演内容:
     はじめに、参加者へ、講師より「エコと低周波音問題」を特集した建築ジャーナル2009年5月号の無料配布があり、建築ジャーナルの編集方針として、地域主義(全国誌です)、人間環境の重視などの説明があった。低周波音問題を特集したテレビ番組のビデオをみて、低周波音に関する理解を深めた後、講師より取材から浮かび上がってくる課題が示された。
     低周波音は周波数40Hz以下の人間の耳にはほとんど聞こえない音であるが、実際に被害が出ている現場で測定すると、音エネルギーが約60〜80dBほどに達し、これは、トラックなどの車が頻繁に行きかう道路上の音と同じくらいの騒音レベレであり、どうやら、このことがいろいろな被害状況をつくりだしているらしい。
     さらに、低周波音は住宅で通常使う吸音材や遮音材で防御しても効果がない。被害者の言葉を借りれば「脳や内臓が揺らされている感じ」とのこと。症状としては、いらいら、耳鳴り、吐き気、不眠、頭痛、食欲不振などなど、自殺者まで出ている。
     低周波音の発生原因として考えられるのは、風車発電、一部の省エネタイプのエアコン室外機、ボイラー、高架橋などで、特に、政府でも奨励しているエコ製品がはいっているので再考を要する。
     各地で一部裁判になっているが、因果関係がはっきりしないので、被害者への救済となる判決には至っていない。国や専門家レベルでの調査、救済が待たれる。
     例会の後の講師を囲んだ懇親会では、「一級建築士なので、低周波音を発生する恐れのある設備機器は使用できないし、設計責任問題にも発展しかねないので、国は安全規準を早急に示してほしい」とか「人間の免疫力を高めることが重要で、そうすれば、この問題も解決するのでは」など、議論の盛り上りの中で閉会した。
    (文責:YH)

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    2009年11月例会

    2009年11月例会
    日 時:11月18日(水)19:00〜21:00
    場 所:I.C. Nagoya 12番教室 (名駅 大名古屋ビル 1階)
    講 師:森 富雄 氏((株)アイ・エス・シイ代表取締役)
    テーマ:「今話題のダムに関する話」
    内 容:
     講師の森富雄さんには、2002年6月の例会で「名ばかりの環境カウンセラーが体験したホタル幼虫の放流」というテーマでお話しいただいております。森さんは、社会基盤整備に関わる土木設計のコンサルタント会社を経営されており、「建設と環境」をキーワードに色々な経験を積み重ねておられます。特に「ダム」に関しては、設計の専門家として数多くのダムの調査や設計に関与されてきました。
     現在、ダムについて様々な視点から活発な論議がなされています。しかし、「ダム」あるいは「ダム問題」について正確な知識を持ち合わせている人は少ないのではないでしょうか。今回は、森さんというダムの専門家に、「ダムの構造と果たす役割」、「ダム建設の進め方」、「水利権とは」といった基本的な事柄について、2時間という限られた時間での講演をお願いしました。「無茶な注文」としか言えない。しかし、やはり専門家、経験談も交え、用意していただいたレジュメに沿って、大変分かりやすくお話し頂きました。
     その内容をレジュメの表題で記すと、@ダムとは Aダムの役割と目的 Bダムの種類 Cダム建設における調査〜設計〜施工 D八ツ場ダムの話 Eよくある意見(今回の講演のために実施した30人からのアンケート結果) Fキーワード。 全てが興味深いお話でしたが、特に印象に残っている3点について以下に記します:
     日本は設計の前段階の「調査費用」が少ない。このためダムの基礎処理工事費が想定以上になることが多い。これが総事業費大幅増加の一つの要因である。もちろん事業期間が長期であることも大きな要因である。
     ダム建設を中止すると下流河川で治水対策を行うことになる。この場合、費用も含め下流域の負担が極めて大きくなる。従って、ダム問題は地域トータルで考えるという視点が欠かせない。
     渇水対策に水利権の転用をという意見があるが、水利権には河川法成立(明治29年)以前の、江戸時代の代官の証文にまで遡るような慣行水利権も多くあり一筋縄にはいかない。
     今回は参加者が6名と少なく残念でしたが、その分、内容の濃い会となりました。
    (文責:YS)

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    2009年12月例会

    日 時:12月2日(水)19:00〜21:00
    場 所:I.C. Nagoya 12番教室 (名駅 大名古屋ビル 1階)
    内 容:情報交換市
     参加者全員から最近気になる話題について情報交換しました。

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