NIMRA 2014年の研究会

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2014年総会

日 時:1月29日(水)19:00〜21:00
場 所:リビエール(栄)
内 容:
 2013年決算、2014年役員人事、2014年事業計画について審議し承認を得た。
 会長:鈴木 信好

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2014年2月例会

日 時:2月26日(水)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 47番教室 (名駅永田ビル 4階)
講 師:丸山 茂樹 氏 (株式会社エヌ・アイ・エス、NIMRA会員)
テーマ:「規制緩和と外国人労働者」

内 容
 毎年恒例となった日本の国際化・外国人問題の第10回目は、年末からたびたびマスコミで話題となっている「規制改革と外国人労働者」を取り上げ、講師から「話題を提供」し、参加者からの意見と議論を整理する形で進行しました。今回は大阪からのゲストと講師を含めて13名の参加があり、意見も数多く、議論百出で終了予定の20:30を超過しました。
 アベノミクス目玉の成長戦略で見えたのは20年前のバブル前の人手不足でした。2020年の東京オリンピック・リニア新幹線・東日本の復興事業に向けた建設需要、高齢化社会に向かって不足する介護人材に外国人労働力の導入が待ったなしの状況下で、今年は決めざるを得ない事がマスコミで報じられている本質を、参加者同士で議論しましたが、導入反対と人手不足は仕方が無いからどのように乗り切るのか?と言う様な所で例会は時間切れとなりました。
 内閣府・経済財政諮問会議に出来たワーキンググループ「選択する未来」委員会が2月24日(月)に提出した資料に「移民20万人」と言う文字も出ており、今後国民的な議論が必要となるなか、NIMRAでもメーリングリスト上で参加者の意見を闘わせては如何かと思います。
 高齢者と女性の活用と言われていますが、在宅介護の推進や病院のベッド数9万床削減など、在宅の老人や病人を介護・看護する人材が何処にいるのか?をよく考えれば解答は自明だと思われます。メーリングリスト上で、引続き、ご意見ご感想を頂ければ幸いです。(文責:SM)

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2014年3月例会

日 時:3月20日(木)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 47番教室 (名駅永田ビル 4階)
講 師:田井 能久 氏 (不動産鑑定士、(株)タイ・バリュエーション・サービシーズ代表取締役、愛知大学非常勤講師、名古屋地方裁判所民事調停委員、NIMRA会員)
テーマ:「マレーシアの不動産について」

内 容
 今回は、マレーシアの概況と不動産、それに関連したロングステイについてお話しをさせて頂きました。
 マレーシアの国名そのものは、奇しくもマレーシア航空が消息不明となった事件が連日のように報道されていたため、知名度は高いのですが、実際に旅行をしたり、関心のある方は少なかったように思われます。そこで、まず国の概況としての位置や気候、経済状況などを説明させて頂きました。そして、マレーシアを理解するうえで欠かせないイスラム教やブミプトラ政策について説明し、これらの考えや理念が、不動産の利用方法や市場動向にまで影響を与えていることについて、自分なりの見解をご説明させて頂きました。また最後に、マレーシアに限らず、どこの国でもという前提のもとに、ロングステイに対する印象とか考え方を参加者に伺ってみました。
 やはり、ロングステイに関しては、“食事が合わないと飽きる”とか、“仕事とかなにかやるべきものが見つからないと退屈する”とか、“夫婦仲がいいことが絶対条件だ”などのご意見がでました。私もまったくの同意見であり、ただ行きさえすれば“年金程度の収入で天国のような暮らしができる”と良い側面しか伝えない業者さんやメディアが多く、何とも言えない胡散臭いイメージがあることは否めません。ですが、今後の人生の選択肢としては十分に検討すべき価値はあるので、そのいい面も悪い面も知るために、このような場を通じて情報交換が出来たのは有意義でありました。
 よく、ロングステイのメリットとして“英語が学べる”とか“異文化に触れる”とか言われますが、私はその他に、“日本人として自分は何ができるか”を発見したり探し求めたりする効用があるのではと感じています。というのも、数年前、クアラルンプールの日本人会に行った時、リタイアしたであろう初老の紳士が駐在員の日本人の子供たちに熱心に柔道を教えていた光景を見た時、日本ではなく外国にいるからこそ自分ができることを人に対してしてあげようというモチベーションが高まるのではないか、と思いました。
 アクティブシニアが今後も益々増えていき、ロングステイに対する情報や環境が整備され、特別な選択肢でなくなった近い将来は、NIMRAの会合も様々な国からネットで繋いで行われるなんてことが起きそうであります。それに備えて手始めに例会や懇親会の開始時間はグリニッジ標準時で表示というのも“名古屋国際都市問題研究会”ぽいのではないのでしょうか?
(文責:YT)

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2014年4月例会

日 時:4月23日(水)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 47番教室 (名駅永田ビル 4階)
講 師:荻野 滋夫 氏 (株式会社アンドアイ代表取締役、フリーアナウンサー)
テーマ:『人類は母音を軸に命をつないできた』
    〜「コミュニケーション」と「価値」について考える〜

開催案内
 現在は5つの母音で構成されるという日本語ですが、かつては、数多くの母音をもち、複雑な音韻が存在し、人の心もようも豊かに表現できました。とくに明治時代以降、言葉は近代日本の共通語として公教育の場でも統一される方向へと向かいます。こうした過程で江戸時代までには存在した母音が失われ、言語においても、表現をシンプルにして伝達がしやすい記号化が進み、東京一極集中の中央集権国家の強化政策とシンクロしていきます。

 言語の発話作用は身体性と結びつきます。現在、繊細なニュアンスも表現できる発話が、アナウンサーから失われつつありますが、これは人の心の襞の奥に分け入る豊かな感受性を学べなくなった社会環境とともに、偏った技術的な話法に力点を置くようになったコミュニケーション教育にも問題があります。

 複雑な心理や感情を支えるのが母音です。この母音が豊かに発達したからこそ、動物の鳴き声とは違う、人類ならではの文化的コミュニケーションが発達してきたことを、もう一度再確認しながら、誤ったコミュニケーション教育のどこを見直せばよいのか、さまざまな例を用いて、参加者の皆様といっしょに考えていきたいと思います。

 放送現場から、現在のマスコミへの提言やジャーナリズムへの疑問も、語られる予定です。

講演内容

 日本語内でのコミュニケーションについて、特にアナウンサーを育成する立場から考えていることがある。それは、母音の発音がわかっていないために、豊かな表現ができず、ただの情報伝達に終わっているケースが多いということ。古来、日本語の発話のなかでは、「あ・い・う・え・お」の五母音以外に、「や行」「ま行」「な行」「ん」なども母音のひとつとして捉えられていた。現在の放送現場のみならず社会一般でも、これらを「雑味」として排除し、五母音に純化(強制的に簡略化)して表現の幅を狭めているので、かえって滑舌を悪くし、感情のこもらないアナウンスやコミュニケーションが増えている。

 これらが母音であると判断されるのは、すべて感情系に属する表現であり、幼児と対話する場合もこれらの音を用いると幼児がリアルに反応する。これに対して子音は、情報系に属する表現である。理性の発達していない幼児には、子音系の音で制御しようと思っても親の思いは伝わりにくい。ネアンデルタール人(旧人)が消え、ホモ・サピエンス(新人)が勢力を拡大したのは、顎骨の形状の違いにもみられるように多彩な発音を可能にする口腔がホモ・サピエンスでは発達しており、言語表現が生まれる前にも、微妙な母音の使い分けによる複雑な感情表現で仲間とコミュニケーションができたのではないかと考えられる。やがて理性の発達とともに子音が生まれて一挙に表現が複雑化し、言語が文明を生みだしていく。

 コミュニケーションをスープに例えるなら、ひとつひとつの具材が伝えるべき情報(子音)であり、水溶液は具材を飲み込みやすくする感情(母音)であるが、ベース液がなければ具材は飲みこめない。近年コミュニケーションが貧相になってきたのは、結果を早く求めるあまり具材だけを食べさせようとして齟齬が生じているせいだ。アナウンサーの放送現場でも、液体を伴わないスープを飲ませるのは「記号実況」であり、水溶性の美味しいスープを味わえる「人間実況」ができるプロフェショナルが少なくなってきた。コミュニケーションにとって重要なことは、質問することではなく、共感することから始めることだ。「うなずき」ロボットの例にあるように、母音を軸とした感情系の表現で相槌を打つことで、人は心を開くことがわかっている。コミュニケーションとは理解し合うことなので、一方的な質問形式ではいけない。料理研究家の辰巳芳子さんは「わたしの作ったスープは美味しいでしょ?」という作り手の自我が入った調理品は食べたくない、あくまでも素材の実力を素直に引き出した料理がおいしい…料理人はそれができる媒介者であればいい、という考え方も同じである。アナウンサーの極意(良いレンズ)もそこにある。

 そのほか、人の実力を引き出すためには逆に力を抜いてキャパシティを増やしてやる話、「勝利者⇔敗北者」と「勝者⇔敗者」という言葉の背後にある負けた者・弱い者への配慮やいたわり、肩たたきやマッサージなどで指先を通じて人の身体とコミュニケーションする大切さ、などの話があった。荻野滋夫さんの人柄とともに現場でのリアルな経験がよく伝わる愛情深い話だった。(文責:MI)

[講師略歴]
セントラルケーブルテレビ(八事)で営業〜番組編成まで。
豊橋市に(株)アンドアイを創立、ボートレースの中継、インタビュー、アナウンサー養成。
フリーアナウンサーとして、高校野球中継、欧州プロリーグ・サッカー中継、番組司会。
東海地方CATV向けドキュメンタリー番組制作。
(株)ピアワークスを立ち上げ、ホームページ制作、PRビデオプロデュース。
中日スポーツ紙にスポーツ記事を連載中。

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2014年5月例会

日 時:5月22日(木)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 47番教室 (名駅永田ビル 4階)
講 師:脇坂 博明 氏(釜e坂公開企画 代表取締役社長、NIMRA会員)
テーマ:「時事問題と日本人の特性」
内 容:

 今回の講演は、「モノづくりに勝ち続けるための企業戦略(情勢分析)」「日本国内で頑張り続けられる企業(海外進出の是非)」「海外事業からの撤退基準と競業禁止事項」という表題のレジュメに記載された25項目について順次解説する形式でなされた。その一端を報告する。

 欧州、米国、中国、新興国諸国、そして日本。それぞれが危機と課題を抱えているが、それは国家の利害がぶつかり合う相反関係でもある。日銀総裁は今月中旬の会見で「異次元緩和の継続=ゼロ金利の継続」を表明するであろう。数日後、アメリカの連邦準備制度理事会議長は「量的金融緩和の段階的縮小=ゼロ金利の解除」を表明するか。であるならば、「ドル高・円安・ユーロ安・新興国通貨安」となり、日米はウィンウィンの関係となる。日米金利差の拡大とユーロの金融緩和が日本経済に及ぼす影響を注視しなければならない。アベノミクスの帰趨に大きく影響する。

 日本では2020年に東京オリンピックが開催される。1964年の東京オリンピックを経験した高齢者層の消費支出を創出するような企画も必要である。3Dプリンターの普及は「モノづくり」の構造的変化をもたらすが知財関連法違反との訴訟が増大するだろう。何らかの社会的対応が必要となる。

 新規事業を「起業」の視点から見ると、不便・感動・趣味・能力・人脈にポイントを当てた企画力と発想力が重要で、「事業」の視点から見ると、結合・分離・復活・転用・移動にポイントを当てた推進力と転換力が必要である。また、「運営形態」の視点から見ると研究開発型・技術融合型・知識集約型・情報提案型・市場創造型に区分できる。  企業の教育訓練では、管理者にはリスク教育、監督者にはコスト教育、従業員にはスキル教育が必要である。

 海外事業においては撤退基準を明確化しておかなければならない。具体的には、一定期間内の売上高・利益額・損失額などの数値目標を定め相手国が明確に判断できるようにしなければならない。「モラル」では理解が得られない。日本人の発信は、「相手に対する遠慮」のコミュニケーションである。もっとメリハリが求められる。「受信」は「相手の顔色による判断」である。もっと本音を聞きだす必要がある。

(文責: NS)

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2014年6月例会

日 時:6月25日(水)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 47番教室 (名駅永田ビル 4階)
講 師:阿竹 克人 氏(活「竹研究所 代表取締役社長、NIMRA会員)
テーマ:「成層圏パワーステーション構想」
内 容:

 「成層圏パワーステーション構想」は今年3月末に公募された内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)に応募した構想である。ImPACTは社会のあり方を大きく変える、ハイリスク・ハイインパクトな研究開発に最長5年間で最大50億円の予算をつけると言う破格の国家プロジェクトで、その研究開発構想とプログラムマネージャー(P.M.)を公募するものであった。

 成層圏パワーステーション構想はすでに本会でも何度か講演済みの太陽熱水蒸気飛行船によるテラ・メリーゴーラウンド構想を深化させたもので、高度15Kmの成層圏に太陽熱で温められた水蒸気で浮力を得る巨大飛行船(長さ5Km直径1Km)を浮かべて、原発に匹敵する太陽エネルギーで液体水素を生産し、地上からシャトル飛行船で水を運び、液体水素(酸素)を持って帰るものである。

 成層圏は、天候や大気拡散による損失が無く、チリなどもほとんど積もらないので、太陽電池は地上より3割以上高効率に使え、水素製造過程で出る廃熱は浮力に、また高圧タンクは構造体と一体化して船体の剛性の確保につながり、巨大生命体のような無駄の無いシステムが構築される。

 20世紀、オイルショックから20世紀末にかけて、サンシャイン計画で太陽エネルギーから水素を作る計画が検討され、また21世紀初頭にミレニアムプロジェクトとして成層圏プラットフォームが取り上げられて来た。本構想は、これらの研究成果を受け継ぎ、再注目されだした水素エネルギー社会に向けて、自然エネルギーでの水素供給に道を開くとともに、電波ネットワークや航空宇宙の未来を開き、宇宙発電衛星や宇宙エレベーター、宇宙殖民都市などの超巨大構想へつながる技術の飛び石的な構想である。

 今回応募に向けて、短期間で日本のトップ企業や名古屋大学の気鋭の研究室を加えた研究体制を構築し、浮力や熱シミュレーション、安全性の確保、採算計画、操作性、建設方法などの一通りの定量的な検討結果による可能性を示すことができたが、ImPACTには残念ながら不採択になりそうである。

 例会では、参加者からの質問に答えて、「航空機は、離陸重量が500t位に達しており、空力的限界を迎えつつある」「飛行船は、大きくすればするほど2乗3乗則で効率が上がることは判っているが、漏れ易く高価なヘリウムガスに頼っている限り巨大化できないというジレンマを抱えている」「飛行船は、飛行機(約400ノット)ほど高速ではないが風に乗れば100ノット以上で飛べるので、船(通常20ノット以下)より余程に高速であり、巨大化できれば飛行機と船の中間を埋める輸送手段になり得る。その為には、最低でも長さ500mくらいの船体にする必要があり、高価なヘリウム以外の気体による飛行船の実現が必要。仮に本構想の飛行船をヘリウムガスで作ると、ガスだけで1兆円くらいになってしまう。尚、これまで過去最大だったヒンデンブルグ号でも浮力は200t程度止まりだった」と説明すると、参加者からは、「そこまで巨大な話にせずに、飛行機と船の中間を埋めるといった程度の構想で勝負したほうが理解が得られたのではないか」との声も聞かれた。

(文責: KA)

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2014年7月例会

日 時:7月24日(木)19:00〜20:40
場 所:I.C. Nagoya 7階 教室 (名駅永田ビル 4階)
講 師:中野 忠光 氏(三菱地所 名古屋支店 次長兼プロジェクト推進室長)
テーマ:「名古屋の目指す都市機能再編と大名古屋ビルヂング」

開催案内

 三菱地所が大名古屋ビルヂングを手掛けたきっかけは、1959(昭和34)年9月の伊勢湾台風だった。1か月後に名古屋を訪れた当時の社長が惨状に心を痛め、復興につながる新ビルを名古屋駅前に建てることを決意したとされる。完成は1965(昭和40)年5月。地所にとっては「東京外での大型ビル第1号」。当時の名古屋では最大規模のビルだった。

 駅の東口を出るとすぐ目に飛び込んでくるため、駅利用者に強い記憶を残してきた。ビル名は地所が決めたが、そこに「大」と「ヂ」が含まれたことから、名古屋っ子は「志と歴史」を感じ、外部者は「大いなる田舎の象徴」と受け取る傾向が強かった。よくも悪くも、伊勢湾台風後のナゴヤを代表する名物ビルだったといえる。

 旧ビルは2012年9月に閉鎖され、その後、解体された。築47年だった。いまの新築工事は低層階の鉄骨組み段階で、来年2015年の10月に竣工を迎える。地所は新ビルも名称をそのまま引き継ぐことを決めている。

 名古屋駅前ではほかにも△松坂屋駅前店跡にJR東海△中央郵便局跡に日本郵政△第二豊田ビル跡に東和不動産―がそれぞれ新ビルを建設している。2017年までには完成する。JR東海はリニア新幹線の品川―名古屋間を2027年には開通させる。2020年に東京五輪が終われば、日本内外の目は「次はリニア」「名古屋はメイエキ」に収れんするだろう。

 中野氏は6年前から名古屋で勤務し、この建て替え計画を担当されてきた。以下のようなテーマで、このビルを起点に「名古屋の明日」を幅広く語っていただく予定です。
・名古屋の都市形成
・旧大名古屋ビルヂングについて
・東海圏および名古屋の地力
・リニアインパクト
・地域づくりの方向感
・目指す都市機能再編
・新大名古屋ビルヂング

■講師経歴  1966年東京生まれ、1989年三菱地所入社。海外事業、マンション事業、東京丸の内再開発などを担当された後、2008年4月から名古屋支店に勤務し、大名古屋ビルヂング建て替えなどの再開発に携わってきた。

例会の内容

(講演内容の骨子)

■名古屋の都市形成 いまから400年前、1612年の「清州越し」が始まり。一気に5、6万人という世界にもまれな大規模都市移転により基盤割りや水運ができた。そして第二次大戦後の復興都市計画と区画整理の成功によって、今の都市インフラを手に入れた。

■旧大名古屋ビル 当時の社長が昭和34年の伊勢湾台風被害を見て「大名古屋経済圏の御用を」と決断した。31m規制時代に高さ53mまで認めてもらった。三菱地所は丸の内再開発で手一杯だったが、新幹線開通が近いとの情報や、三菱系企業の拠点が必要との戦略もあっただろう。ビル名の「ヂ」は大正12年の丸の内ビルヂングが起源。三菱地所は2002年以降のビルから「ジ」に変えてきたが、大名古屋ビルは「地元の愛着も強く、ヂを残してほしい」と本社と掛け合い、反対意見を押し切った。閉鎖前の写真展に1万3千人もの人が来てくれて、旧ビルが本当に愛されていたことをあらためて実感した。

■名古屋圏の地力 人口は自然増を続け、可処分所得は大阪より多い。住宅ローン負担率は全国平均より低く、物価は全国並みで、世帯当たり消費支出は東京並み。最高水準のモノづくり力を持ち、貯蓄は多く、一戸当たりの面積も大きい。まさに「あこがれのワーク・ライフ・バランス状態」にある。残念なのは、中部新空港の求心力の弱さと低下ぐらいだ。

■リニア・インパクト 大阪までつながれば、世界にない新交通で一体化された7000万人都市圏ができる。東京から40分は千葉や八王子や藤沢と同じ。名古屋の将来は「スーパーターミナル・ナゴヤ」の概念をもとに議論されているが、一番大事なのは、名古屋駅に「わかりやすい乗り換え空間」をつくることだろう。現状は「増改築を繰り返してきた旅館みたい」というたとえに賛成。議論開始が10年遅い感もあるが、やるしかない。

■新・大名古屋ビルヂング 高さ175m(旧ビル53mの3倍)、34階建て(旧ビル12階の3倍)、床面積4万坪(旧ビル2万坪の2倍)になる。低層部の商業ゾーンのコンセプトは「D・N・A」、大・名古屋ビルヂング・アドバンスの略だ。床面積の3割を三越伊勢丹に貸す。残りは「名古屋『発』・名古屋『初』」の80店舗を誘致したい。高層部の7階から33階はオフィスだが、下部の数フロアには、交流やふれあいをもたらす「インタラクティブ・ゾーン」を設け、金融・医療モール、住宅系ショールーム、教育系テナントを誘致したい。そのほかにも▽低層部の屋上に2千uの庭園▽地域冷暖房(DHC)の導入▽地下と1階にバリアフリーの貫通通路▽地下街コンコースとの接続部の拡大と整備▽1000台分の新型駐輪場▽ガスと重油に対応した非常用発電機の6階設置―など多くの公共貢献策を予定している。みなさんに感動を与えられるビルに仕上げ、地域全体を盛り上げていきたい。

(質疑)

多くの質問が出た。名古屋市当局との折衝の経過や、先行したJRタワーズやミッドランドスクエアとの関係などが多かった。残念ながら時間切れになり、懇談会に場を移した。 (文責:AD)

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2014年10月例会

日 時:10月21日(火)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 7階 教室 (名駅永田ビル 4階)
講 師:江坂 恵里子 氏(国際デザインセンター海外ネットワークディレクター)
テーマ:「“デザイン都市”なごやを考える」

開催案内

 「ユネスコ・デザイン都市なごや」の事業担当として、数多くの海外との交流事業を企画し実現されてきた江坂恵里子氏をお招きし、世界各地のネットワーク都市との交流事例を紹介していただくとともに、デザインを通したまちづくりについてお話しいただきます。

<江坂恵里子(えさかえりこ)氏プロフィール>
名古屋芸術大学アート&デザインセンターなどで現代美術やデザインの展覧会、講演、ワークショップなどの企画・運営に携わる。2009年から(株)国際デザインセンター(IdcN)の海外ネットワークディレクターとしてユネスコ・クリエイティブ・シティズ・ネットワークとの交流事業や国際若手デザイナーワークショップ、国際デザインフォーラムなどの企画運営を担当。

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2014年 緑蔭講座

開催日:10月25〜26日(土・日)
行き先:犬山城下町 犬山 秋のお城まつり、宿泊:民宿 川美屋
解 説:大薮 明良 氏(犬山祭り本町組 後見)

内 容
 今年の緑陰講座は、会員8名、ビジター2名の合計10名で、愛知県犬山市の、秋のお城祭り〜犬山 秋祭り〜に出かけた。交通のアクセスも良く、宿泊先となる、川のほとりに位置する民宿「川美屋」に、13時頃集合した。緑陰講座担当が、犬山祭の「山車」を曳く人員である事から、この緑陰講座が「犬山祭りの関係者」としてお祭りを楽しめるよう、彩色豊かな半纏を準備した。祭り会場で、好みの半纏を羽織るため、集合早々、ジャンケン争奪戦でボルテージを上げ、犬山祭りの会場に向かった。
 城下町を練り歩いた多くの山車が目の前で威勢よく、城前広場に入場してきている中、講師である大薮明良後見が、座している山車を実際に触りながら、犬山祭りの歴史や山車の構造、からくり人形の仕組みなどを説明した。しばしの自由行動を経て、宿に戻り、大薮氏も交えた早めの夕食を取ることになった。民宿の女将が出す素朴な手づくり料理に舌鼓を打ちながら、祭りの高揚感を抑えるが如く、冷えたビールを腹に流し込み、楽しい会食の時間を過ごすことになった。
 そして、宴会を早々に切り上げ、一同は、再び、会場に向かった。そこで見る、本物の火を使った300以上の提灯で山車を灯し、夜に浮かび上がる、「夜山車」がこれまた美しい。半纏を羽織った会員は、犬山祭りの関係者として、観光客が入って来ることができない場所を確保することができ、火を灯した夜山車の斜切り(方向転換)やどんでん(持ち上げながら後進)が目の前で勢いよく繰り広げられた。
 祭りも終焉を迎える頃、宿泊者は宿に戻り、川を眺める部屋でもう一献、日帰りの者は、祭りの情緒があるお店で一献引っ掛けて帰路についた。楽しい会話で夜が更け、疲労した腰や足をいたわるかのように熱い風呂に身を沈め、ぐっすりと体を休めた。そして、翌朝は、目の前の道路で、地元の朝市が開かれており、賑やかな声で目が覚めた。  まさしく、秋の犬山祭りに相応しい秋空の下の、最高の緑陰講座になったと思う。この名古屋大都市の近隣、犬山で、古き良き時代の祭りを緑陰講座として開催できたことに感謝いたします。(文責: KT)

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2014年11月例会

日 時:11月20日(木)19:00〜21:00
場 所:I.C. Nagoya 7階 教室 (名駅永田ビル)
講 師:川村 信之 氏(樺電CTI、NIMRA会員)
テーマ:「エネルギー問題の現状を考える(電気事業の今!)」

内 容
 東日本大震災に起因した福島第1原子力発電所事故を経て、日本のエネルギー事情は一変し太陽光、風力をはじめとした再生可能エネルギーの普及促進等のエネルギーの供給体制の変革の動きに呼応した電力改革が政策的に導入が進められてきた。
 現実には、変動しやすく不安定な再生可能エネルギーを唯一の解決策として政策推進したため、代替化石燃料調達額が日本全体の農業生産高(3兆円)をはるかに超えるまでに追加的に増大し、それが日本のGDPを約4兆円も押し下げ続けている。さらに国民には、再生可能エネルギー賦課金の負担増を引き起こし実生活を脅かすレベルまでの増加の懸念が持たれている。日本のお手本として崇めたドイツでは家庭負担が今年度1軒当たり2万円を超えようとしており、この傾向は続いており年々さらに昂進中である。ドイツより5割以上高い負担率の日本ではさらに条件が悪く早晩(至近で)重い足かせとなりそうである。
 現状の日本の需要のうち地震以前は4割近い大きなシェアを賄ってきた全国の原子力発電所も、全機停止という未曽有のエネルギー危機の事態を3年以上続けてきており、これを補ったのは皮肉にも、廃止直前の老朽火力や既に10年以上も前に廃止し現場放棄していたものを緊急的に再立上げして使っているのが現状でまさに綱渡りである。現状の大規模火力にしても、10年後には30%以上が経年40年以上を迎え更新建て替えを迫られている。大規模発電所建設に見る10年というのはあっという間の出来事で、火力といえども地元同意を前提に建設する現状では短くても平均15〜20年以上期間がかかっている、電力供給を確保するのは国にとっての喫緊の課題であることは間違いなく、補助金漬けで年々徐々に小規模再生可能エネルギーの発電所を作っていくだけの方策では立ち行かなくなる。我々自身の問題として国の課題(海外への国富流出)、国民の課題(家計負担増)の2重の負担を直視せずエネルギー問題は語れないと思われる。
 こうした状況を見るにつけ今後のエネルギー問題は、環境面からだけ見たバラ色感での認識から、多面的理解が求められていることを実感したテーマであった。(文責:NK)

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2014年12月例会

日 時:12月17日(水)19:30〜21:00
場 所:I.C. Nagoya 教室 7階教室(名駅永田ビル)
内 容:情報交換市
 会員が最近の話題を持ち寄り、忘年会を兼ねて談義しました。

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