NIMRA 2018年の研究会

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2018年総会

日 時:1月18日(木)19:00〜21:00
場 所:リビエール(栄)
内 容:
 2017年決算、2018年役員人事、2018年事業計画について議論した。
 昨年の例会参加率が低調であった為、本年は、例会開催をほぼ隔月に半減して一回一回の例会の充実を図ることとした。また、例会充実策の一環として、例会開始時間を繰上げ(18:30開始)、第1部「懇談会」(17:30開始)を創設することとした。
 会長:鈴木 信好

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2018年3月例会

日 時:3月22日(木)18:30〜20:00
場 所:I.C. Nagoya 教室 (名駅永田ビル7階)
講 師: 堀部 和経 氏 (堀部数学模型研究所(HMMRC) 代表)
テーマ:「江戸期の数学・和算の魅力 と ビーズ多面体」

案 内

 堀部 和経 先生は1955年岐阜県生まれで、永く春日井高校など愛知県の公立高校で数学の教鞭をとる傍ら、ビーズ多面体作家としても活動を続けてこられました。ユニークな数学者としてたびたび新聞などにも登場されています。

 最近注目が上がっているように、江戸時代の日本は、世界的にも珍しい数学大国であり、ニュートン・ライプニッツと同時期に関孝和が独自に微分積分法を発見していたことは有名です。「東海道中膝栗毛」などより和算書の「塵劫記」のほうが発行部数が上だったそうで、この中の実用三角関数が今でも日本の建設現場で生きていることを最近知りました。

 バックミンスターフラーのジオデシックドームもフラーが生まれる前に、和算家の会田安明が「算法切籠集」に図を残しています。XやYの文字式というと頭が痛くなるという方も和算だと数学の魅力を再発見できるのではないかと思います。

 堀部先生は多面体と数学に関して日本国内のみならず台湾や韓国でも講演活動をされているということで国際都市問題研究会にふさわしく、その辺の数学事情についてもお話しいただけるかと存じます。多数のご参加をお待ちいたします。

講師著書
「パソコンらくらく高校数学 微分積分」講談社 共著 他
「世界の基礎数学 図形と方程式」数学検定協会 共著
「やさしくわかりやすい 数学T+A」文英堂 単著 他
その他 高校数学の教科書の執筆など

内 容

 講演に先立って、堀部氏のビーズ多面体の作品の数々が奥様のサポートもあり多数展示された。また和算書のサンプルとして天保十二年の算法助術の三十個の球の外接問題と天保十五年=弘化元年=1844年の算法求積通考の39番のプリントが配布された。近年再評価が進んでいる江戸期の数学・和算は、書道やお花などの習い事と同じで、関流最上流など流派の私塾として展開されていた。アカデミズムの基本が西洋と違うため、流派の奥義が秘されるなど公開性や厳密性にやや欠けるものの西洋よりも先んじた独自の研究成果も多かった。

 また入塾者獲得のため参詣者の多い神社に和算の問題を算額として奉納掲示され、見栄えの点から配布資料のような幾何学の問題が多かった。ということで熱田神宮に奉納されていた算額の実物大の写しが紹介された。

 配布の三十個の球の外接問題の模型製作を先輩研究者から依頼されたことが講師がビーズ多面体にのめり込むきっかけとなった。答えは小さな球が大きな球の周りに正10角形状に並ぶことから平面幾何問題に置き換えられ、黄金比から1:√5になるので約1:2.236倍になる市販の球の組み合わせを探したという。

 また算法求積通考に関連してドーナッツ(トーラス)をある角度で斜めに切るときれいな二つの円が現れることを因数分解とCG、実際のドーナッツを切ってみた結果などで解説された。

 最後に和算とは離れて、独自の研究展開をされているビーズ多面体と海外の講演についても紹介。その後の質疑応答も活発で、算額は情報交換の場としての神社の参詣者の増加にも寄与し、現代のアフィリエイト広告などにも通じるといった感想もあり、和算と江戸文化の認識を新たにする機会となった。

 多数のビーズ多面体模型は実際に触ることが出来て一部は展示即売。そのあとの懇親会では講師のリニア試乗体験など豊富な話題で盛り上がった。

(文責:KA)

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2018年5月例会

日 時:5月24日(木)18:30〜20:00
場 所:I.C. Nagoya 教室 (名駅永田ビル7階)
講 師: 参議院議員 里見 隆治 氏
テーマ:「外国人労働者あれこれ」

案 内

 コンビニ、外食産業、流通……。いつの頃からか、名古屋市内でも働く外国人を見かけることは日常の風景になった。特に、日本人と接する機会の多い、接客業で働く外国人の多くが留学生で、その数は増え続けている。現在、日本で働く外国人労働者の数は約128万人(2017年10月末時点、厚生労働省調査)。2008年の49万人から、ここ10年弱で、一気に2.6倍にまで増えている。地域別に見ると、東京都で働いている割合が全体の3割を超え、全都道府県でダントツの1位。隣接する神奈川、埼玉、千葉まで含めると、1都3県で全国の外国人労働者数の約45%を占める。

 さて、彼ら外国人労働者の中でも、特に「接客業」で働く者の多くが、「留学生」であることをご存じだろうか。留学生は2017年5月時点で26.7万人。その数は5年前の16.2万人、10年前の11.8万人と比較して、やはり大幅に増えている。そのうち中国、ベトナム、ネパールなど、93%がアジア諸国出身だ。彼ら留学生は、日本語学校や専門学校、大学などで学びつつ、同時に「資格外活動」として週28時間まで労働することが認められている。

  一方、農林水産業や造船所、工場などでも技能実習生の資格で3年から5年間の有期雇用契約を結び帰国後は日本の技術を伝えると言う名目で日本全国で働いている外国人労働者も無視出来ない数に上る。

 来年度から、外国人労働者向けに新しい「在留資格」ができると報じられている。日本経済新聞によると、技能実習を終了した外国人に対して、国は、さらに最長5年間就労できる資格をあたえるという。そのあとも、試験に合格すれば、家族を呼び寄せたり、もっと長く国内で働いたりできる資格に移行できるようだ。現行の技能実習制度は、最長5年間の実習期間が過ぎれば、実習生は帰国することになる。就労資格で残すことで、深刻になりつつある人手不足に対応するかたちだ。技能実習より待遇がよくなるため、移行を希望する外国人が多いのではないかという期待もあるが、一方で、現在の技能制度をめぐって、実習生たちに過酷な労働環境をしいているという指摘もある。

 こうした背景を踏まえて、5月例会は「外国人労働者あれこれ」と題し、外国人労働者政策の専門家の方からお話しを頂きます。

内 容

 「外国人労働者あれこれ」の中でも、東京に次いで二番目に外国人労働者の多い愛知県にとって欠かせなくなった技能実習生の仕組みから、新たに始まる技能実習「介護」の受け入れについて、さらに、愛知県も指定されている国家戦略特区における外国人農業支援人材などについて、お話を頂きました。資料を交えて、政府が考えている最新の在留資格についても知ることが出来ましたが、本当にこれで良いのか議論を尽くす必要があると思わせる事柄が多くある在留資格「地方行政」(仮称)の創設などなど盛りだくさんの内容を解説頂きました。

 政府は移民政策はとらないと言いつつもこうした外国人労働力を借りなければ日本国全体が現在の経済的な水準を保てなくなりつつある中で、今後の受け入れの在り方を我々も真剣に考えなければなりません。受け入れの諸問題を次世代へ先送りさせる事の無いようにしていく必要があることを益々、感じました。

(文責:SM)

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2018年7月例会

日 時:7月26日(木)18:30〜23:00
場 所:I.C. Nagoya 教室 (名駅永田ビル7階)
講 師: 川村 信之 氏 (NIMRA会員)
テーマ:「今後の日本は、再生可能エネルギー一本槍で大丈夫?」(誤解だらけのエネルギー問題)

案 内
日本では、3.11(東日本大震災)を契機に、大きく経済構造・環境意識が変化する中、エネルギー選択の自由化(電力改革)・温暖化対策等への積極的対応が進められて来ています。今後もエネルギー分野が産業の要であり、我々の生活に密接な関りを続ける中、3E(経済性・環境・エネルギーセキュリティ)を如何にバランスよく実現していくのかが、国全体の目指す方向となります。

この理解が難しいエネルギー(電力)問題に、どうして誤解が大きく見受けられるのかを、「ひっかけ問題」と捉え整理し、ここで皆さんと考えていきたいと思います。

内 容
東日本大震災に起因した福島第1原子力発電所事故を経て、日本のエネルギー事情は一変し太陽光・風力をはじめとした再生可能エネルギーの普及促進等のエネルギーの供給体制の変革の動きに呼応し、電力改革(完全自由化)が政策的に進められてきた。

現実には、変動しやすく不安定な再生可能エネルギーを唯一の解決策として政策推進したため、年間の代替化石燃料調達額が日本全体の農業生産高(3兆円)をはるかに超えるまでに追加的に増大し、それが日本のGDPを約4兆円も押し下げ続けている。さらに国民には、再生可能エネルギー賦課金の急激な負担増を引き起こし、実生活を脅かすレベルまでの増加してきている。日本がお手本として崇めたドイツでも低所得の家庭が思い負担にあえいでいる。ドイツより5割以上高い負担率の日本ではさらに条件が悪く、すでに平均家庭でも年間2万円を超える負担となり、これが国レベルで大きな問題となってきている。

現状の日本の需要のうち震災以前は4割近い大きなシェアを賄ってきた全国の原子力発電所も、全機停止という未曽有のエネルギー危機の事態から歩みは非常に遅々としており、7年以上もたって、やっと再稼働承認を受け実際に稼働中なのはたった6機というのが、現状である。皮肉にも、原発全停止の供給不足を補ったのは廃止直前や既に10年以上も前に廃止済みで現場放棄していた老朽火力を緊急に再立上げして使っているのが現状で、その場限りのまさに綱渡りである。

電力供給を確保するのは国にとっての喫緊の課題であることは間違いなく、補助金漬けで国民負担を増大させているだけの再生可能エネルギー推進一本鎗の方策では立ち行かなくなりつつある。我々自身、普段目に触れることが少ないままのエネルギー問題を、国の課題(海外への国富流出)、国民の課題(家計負担増)に分け、この2重の負担を直視し真に国民が求める姿は何かを問いかけてみた。

原子力発電を含むエネルギー問題が、「命(環境)か経済か」の極端な視点だけで語られ、環境面から再生可能エネルギーのみを解決策とするあやうい認識に、警鐘を鳴らした。

国民にあまり広く語られなくて、重大な状況を認識されていない多様なリスクも紹介することで、日本がとるべき方向を提言してみた。

エネルギー問題は、今こそ、我々に多面的理解が求められていることを実感したテーマであった。

(文責:NK)

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2018年緑蔭講座

開催日:9月15日(土)16日(日)
テーマ:岐阜県中濃地方の歴史と文化に触れる旅
行き先:関市 「小瀬鵜飼」、美濃市 「うだつの上がる町並み」

日 程:
9月15日(土)
 16時    「関観光ホテル」集合、17時〜 夕食
 19時    鵜飼見物 (当日は大雨による増水のため中止となった。) 9月16日(日)
 10時    美濃市に移動
 10時30分 「旧今井家住宅」「うだつの上がる町並み」「美濃和紙 あかりアート館」などを見学。
 12時    昼食  その解散

内 容:

 今年の緑蔭講座は、「岐阜県中濃地方の歴史と文化に触れる旅」として、初日は一千有余年の歴史を持つ関市の「小瀬鵜飼」を楽しみ、翌日は美濃和紙の産地としても有名な美濃市を訪ね「うだつの上がる町並み」ほかを散策することとした。 しかし、残念ながら出発直前の15日 午前11時半過ぎにホテルより「鵜飼中止」との連絡が入った。早速、参加者(宿泊6名、日帰り1名)に伝え協議したが、宿泊参加者は全員が予定通り参加することとなった。急遽キャンセルとなった日帰り予定の会員に対しては担当幹事として感謝の念に堪えない。

 このような経緯を経て初日がスタートした。夕食は17時から始まったが、その直前に参加者持参のウイスキーで軽く前哨戦を行った効果もあってか食事しながらの会話は論壇風発。話題は多岐にわたり楽しく会食を進めることができた。もちろん、今後のNIMRAについても熱く意見交換することができた。そして、この緑陰講座ならではのフリートーキングは部屋に移ってからも延々と続いた。

 翌日は、美濃市に移動する前に、ホテル近くにある「弥勒寺跡に短時間立ち寄った。この寺は、創建が7世紀後半と推定される地元豪族の氏寺である。金堂・塔・講堂などの遺構があった。

 美濃市は「和紙とうだつのまち」として知られている。その歴史を概説する。美濃和紙は1300年の歴史を持つ。これは、現存する最古の美濃和紙が702年の正倉院所蔵物であることから分かる。美濃市のまち割りの骨格は、関ヶ原の戦いの功によりこの地を拝領した金森長近が完成させた。その後、和紙産業の隆盛を背景としてこのまちは商業都市として栄えた。「うだつ」は本来、防火壁である。しかし、美濃和紙の扱いで財をなした商人たちはこれを富の象徴として扱い粋を競った。これにより江戸から明治時代にかけて造られた「うだつを備えた商家が軒を連ねることとなり「うだつの上がる町並み」が誕生した

 当日は、美濃市の職員であった男性ボランティアガイド氏に「旧今井家住宅」「あかりアート館」「小坂家住宅」「町並み」を順次案内していただいた。

 「旧今井家住宅」は、江戸時代中期に建てられた市内最大規模の商家である。「美濃資料館」として美濃市の古い歴史・文化、建造物に関する史料を多数展示している。敷地の奥には「うだつ蔵」や郷土芸能である美濃流し仁輪加を紹介する「にわか蔵」もあった。中には明治時代に撮影した写真も多く展示されていた。写っている人々の表情や服装からも当時の隆盛ぶりを知ることができた。

 「旧今井家住宅」に近接する「あかりアート館」は、「美濃和紙」と「あかり」をテーマとした美術館である。美濃和紙で作られた「あかりアート」を数多く常設展示している。暗い館内に幻想的に浮かび上がる作品の独創性と緻密さに驚かされた。毎年10月には全国から募集した作品を「うだつの上がる町並み」に屋外展示し審査する「美濃和紙あかりアート展」が開催される。今年は10月6日(土)、7日(日)とのこと。必ず訪れようと決心した。

 「小坂家」は、江戸時代より酒造業を営んできた旧家である。酒屋の店構えもよく保存された美濃地方商家の代表的遺例として、昭和54年、国の重要文化財に指定された。当家のうだつは両妻に加え中央にもあるのが特徴である。酒の銘柄である「百春」の字が入った大きな暖簾をくぐり中に入った。商品を並べた店座敷や納戸、仏間、おかって等を通過し奥の蔵まで行き着いた。これでもまだ奥行きの3分の1とのこと。帰りにお礼の気持ちを込めて百春の純米酒を買った。

 「うだつの上がる町並み」は、「一番町通り」と「二番町通り」の2筋ある。平成11年に国の重要伝統的建造物群保存地区として選定された。「旧今井家住宅」は「一番町通り」に、「小坂家住宅」は「二番町通り」に建っている。通行する車両も少なく江戸時代から明治時代にかけての古いたたずまいを感じることができた。

 関市と美濃市は、ともに名古屋から僅か1時間圏内に位置する。どちらも千年以上の歴史を誇る文化を持ち、これを脈々と受け継いできている。大きな感銘を受けた。関の鵜飼については来シーズン、個人の立場から再チャレンジしたい。

(文責:NS)

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