NIMRA 2021年の研究会

2021年総会

2021年は新型コロナウィルスの感染拡大継続の為、新年総会は中止し、e-mailで役員と予算の承認を得た。
会長: 鈴木 信好

2021年5月例会

日 時:5月20日(木)18:30〜20:00
場 所:櫻文化サロン(名駅永田ビル8階)、Zoomミーティング併用
講 師:小林 敬幸 氏(名古屋大学 大学院工学研究科 化学システム工学専攻 准教授 博士)
テーマ:「にわかに注目を集める水素エネルギー社会」
内 容

新型コロナ影響の為、例会の開催を見合わせていたが、5月から再開した。

【例会案内】2020年10月26日の菅総理大臣による所信表明演説において,社会経済の変革,産業構造の大転換,ライフスタイルの転換を通じてグリーン社会を実現し,2050年に脱炭素社会を達成することを政策として掲げました.その後,脱炭素を図る要として,にわかにマスコミで騒がれだしたのが,水素エネルギーです.石炭,石油,天然ガスとだんだんと炭素が少ないエネルギーに転換してきた近代社会の歴史の最終形として本格的に社会に導入されようとしている水素を通じて,グリーン社会の発展に向けた課題について考えたいと思います.

【例会報告】

 近年日本では毎年のように気候変動に伴う豪雨災害等が起きる中、昨年10月の菅新総理の所信表明演説で急遽カーボンオフセット社会の前倒し実施が表明され産業構造やライフスタイルの転換待ったなしの展開になった。

 講演は、まず炭素についての基礎知識から入り、意外に大気中の二酸化炭素より海洋に炭酸カルシウムとして閉じ込められている炭素と土中有機物の炭素が多く、化石燃料となる原油や石炭は量としては小さいことが紹介された。

 ついで化石燃料に替わって燃えても二酸化炭素を出さないクリーンエネルギーとしてにわかに注目を集めだした水素エネルギーについての基礎知識に入った。

 一般に水素は爆発限界が広く大変危険なエネルギーと思われているが、大気中の拡散速度と燃焼速度が速く、とらえ方によってはガソリンよりははるかに安全なエネルギーと言える。水素の大規模パイプラインなどは欧米が日本より進んでおり、テロ対策の実験でも安全性が確かめられている。

 現状では水素は化石燃料から量産されていて、製造段階で二酸化炭素をだしたのではクリーンエネルギーとは言えないが、電気分解などで作るクリーンな水素 (グリーン水素)はまだまだ採算上の課題を抱えている。

 価格的には工業生産の副産物として生じる純度の低い水素が安く、高純度が求められるトヨタミライなどの燃料電池には向かないが内燃機関には向いており、水素エンジン車などを研究する意味がここにある。

 まだまだ国内の水素ステーション等で供給される水素の値段は実コストを下回って設定されており、本格的な水素社会の実現に向けて、いかにクリーンな水素を低価格で供給していくか課題は多い。

 当日はコロナ禍の中初めてのZOOMハイブリッド開催でいろいろ不安視されたが、入念な準備が実って、オンライン会場から期待以上の活発な質問と議論があり、終わりは20時をかなり過ぎた。(オフライン後も続いたと言われる)

【講師の主な職歴・専門分野】1989年名古屋大学 工学部化学工学科卒業,1992年 名古屋大学 高温エネルギー変換研究センター 助手を経て現在に至る.省エネルギー技術,熱を蓄える研究開発などに従事.エネルギー管理士/管理員や,環境人材育成講座など,人材育成にも従事.
【受賞】International Association of Advanced Materials Medal(2018), 粉生熱技術振興賞(2016)など受賞
【社会活動】あいちゼロカーボン推進協議会 運営委員,AKJ環境総合研究所 副理事長,中国科学院広州エネルギー研究所 招へい教授,新エネルギー・産業総合開発機構(NEDO) 技術委員,瀬戸市環境衛生審議会 委員長,日進市 一般廃棄物処理基本計画策定委員会 委員長,一宮市学校教育推進会議 副委員長,愛知環境賞 選考委員,エネルギー管理士

(文責:KA)

(TOPへ戻る)

2021年7月例会

日 時:7月21日(水)18:30〜20:30
場 所:櫻文化サロン(名駅永田ビル8階)、Zoomミーティング併用
講 師:浅野 勝宏 氏(名古屋工業大学 機械工学科 元教授、工学博士)
テーマ:「自動車の運転支援システム(自動運転)の変遷」
内 容

 従来より運転支援システム(自動運転)の研究開発が進められていたが、大手 IT カンパニーの参入以来、周辺状況が大きく変化した。例会では、開発現場から見て何が変わったのかを振り返った。

【講演内容】

◆大学奉職前の豊田中央研究所時代の車の自動運転関連研究について
 自動運転には、人間に頼らず、車自身が路面状況等の周囲状況を的確に判断する事が必要とされるので、自動追従時の違和感解析を主に研究した。特に、車を的確に運転コントロールし安全に停止させるための技術として「路面の滑り易さ推定」を研究し、それの応用としての「タイヤ空気圧自動調整技術」の実用化研究を推進した。その技術は、日本国内では高い評価が得られたが、当時アメリカでの関連事故の影響により規制強化が進められつつあり、これにより世界的普及に至らなかった。技術の優秀性が高くとも、規制環境等で商用化に至らなかったのは残念であった。

◆自動運転研究・商用化黎明期から現在に至る技術の流れ
 自動運転研究は、中核技術である各種センサーの開発に依存し、最近10年の目まぐるしい研究・実用化の成果として、センサーコストが、3〜4桁低減した事が 大きくこれに貢献した。
 1995年の開始から2005年迄は、欧米等と比較し日本は世界をリードする研究が多く進められて来ていた。しかし、それ以降は研究の根底に安全優先偏重の考え方があり、斬新な実用化研究が進みにくい状況となっていた。特に、日本の特徴として実用化研究が車メーカーのみに偏り、自動運転を側面から支えるITベンダー他の幅広い事業参画が不足しており、これが研究スピードに影響を及ぼした。
 2010年以降は、欧州が自動運転技術の研究で先行し始めるのと呼応したかの様にアメリカでも、政府による大規模の財政支援がなされた。目を引くのは、国防総省DARPAによる自動運転技術のオープンイノベーション開発への2億円の賞金付き支援等が呼び水となり官民挙げた研究体制が飛躍的に進んだ事である。
 一方研究スタイルでも、日本のメーカーの秘密主義での「自前単独研究」に対し、アメリカでは裾野の広いロボット分野等では、「オープンイノベーション」の考え方で、異業種相互に連携し研究コミュニティを作り、研究成果を共有・交換する研究スタイルが斬新なアイデアの迅速実用化に繋がり、大きな成果を上げてきたのが世界の現状である。
 しかし、日本の代表的メーカーであるトヨタ自動車でも、こうした状況に手をこまねいていたわけではなく、「高精度地図システム」や「Lidarと呼ばれる高精度・安定運用可能なレーザー測距システム」などの商用化を重点的に進めており、現在まで世界的にそん色ないレベルで実用化は進展してきていると考えている。

【講演を終えて】
 当日はコロナ禍で前回同様、ZOOMハイブリッド開催でしたが入念に準備頂き、オンライン会場からも活発な質問と議論があり終わりは20時をかなり過ぎました。(オフライン後の会場懇親会) 講師を交えたささやかな懇親でしたが、以前にも増して和やかな中にも活発な意見も飛び出し、久々の楽しい機会が持て有意義な例会となりました。

(文責:NK)

(TOPへ戻る)

2021年10月例会

日 時:10月21日(水)18:30〜20:30
場 所:櫻文化サロン(名駅永田ビル8階)、Zoomミーティング併用
講 師:森田 英靖 氏(株式会社日本ピーアール、NIMRA会員)
テーマ:「5Gについて YouTubeについて」
内 容

知っているようで知らない事も多い5GとYouTubeに関して、日々ライブ配信業務に携わる講師の観点で、バーチャルスタジオからZOOMによるネットミーティングで解説して頂いた。

はじめに講師がライブ配信業務で使用している機材について紹介された。画面ではスタイリッシュなスタジオに見えるが、実際にはグリーンバックのスタジオに背景画像を重ねているとのこと。

次に5Gについて、1Gから始まる移動通信システムの歴史、5Gの持つ大容量・低遅延・多数端末接続の特徴について概要説明があり、続いて総務省が公開している動画を元に、自動運転、遠隔医療、自動決済、音楽のセッション、多視点による中継等、5Gで可能になる未来像に関して解説して頂いた。

YouTubeについては、現在のユーチューバーの収益構造や収益モデルについて解説があり、具体的な例として、キッズ向けのチャンネルは比較的登録者数を増やす事に向いており、視聴者の購買能力が高い教育系のチャンネルはCMの単価が高くなる事など解説された。

また、愛知県の地元ユーチューバーでチャンネル登録者数が非常に多い東海オンエアを例に、いま人気があるYouTubeコンテンツの内容や投げ銭機能(スーパーチャット)を具体的な配信内容を例に、制作体系や収益構造に関しても解説された。

(文責:HM)

(TOPへ戻る)

2021年12月例会

日 時:12月15日(水)18:30〜21:00
場 所:櫻文化サロン(名駅永田ビル8階)
内 容:情報交換市
 幹事会および情報交換市を開催した。

(TOPへ戻る)

(ホームページへ)